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成長頼みか?歳出カットか? 日本の財政健全化

2015/5/20(水) 7:00配信

THE PAGE

 6月までに取りまとめる予定の財政健全化計画をめぐって、政府内部で微妙な対立が生じているようです。安倍政権としては、経済成長を優先し、単純な歳出カットはできるだけ回避したい意向ですが、財務省は歳出削減の徹底による着実な方法を望んでいます。

 現在、政府内部では財政健全化計画の内容が議論されており、12日の経済財政諮問会議では、その土台となる論点整理が提示されました。論点整理では、実質で2%、名目で3%程度を上回る経済成長を前提にするという内容が盛り込まれ、経済成長による税収増で財政を健全化させる方向性が明確になっています。

 ただ、実質2%、名目3%という数値は、内閣府が作成した試算における経済再生ケース(アベノミクスの効果が着実に発現した場合)に相当するもので、現実的にはかなり難易度の高いものです。また、仮にこの経済成長が実現できたとしても、内閣府の試算では2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)は9.4兆円の赤字となってしまい、この年度までに黒字化するという政府目標には遠く及ばない状況です。

 内閣府の試算については、かなり保守的であるという指摘もあります。甘利経財相は「歳出構造の改革をしていくことによって、税収弾性値の変化もあるのではないか」と指摘しています。税収弾性値とは、経済成長に応じて税収がどの程度増加するかを示す指標なのですが、財政当局はこの数値を低めに見積もる傾向があります。甘利氏は、アベノミクスが着実に効果を発揮すれば、税収はもっと増えるのではないか、と主張しているわけです。経済財政諮問会議においても、9.4兆円のうち半分程度は経済成長によって捻出する方向を目指すべきという意見も出ています。

 今後の経済成長に大きく依存するやり方は、経済が順調に成長しなかった場合のリスクが大きくなります。麻生財務相は「税収増については不確実性が大きい」として、この動きにクギを刺しています。財務省の財政制度等審議会では、社会保障費の伸びを、高齢化による自然増の範囲に収める方向性で議論を進めており、基本的に歳出削減を徹底することで財政再建を実現したい考えです。

 しかし社会保障費の抑制は国民からの反対が大きく、政治的な決断はなかなか難しいかもしれません。また今回の財政健全化計画には、消費税の10%以上への増税は盛り込まれない予定となっており、増税による税収増で対応するという選択肢もありません。

 大雑把に考えれば、日本の財政再建は、経済成長に賭けるのか、年金や医療といった社会保障費を抑制するのかという二者択一となりそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/30(水) 4:15
THE PAGE