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イギリスの政治と日本の政治 財政健全化できるのは? 内山融・東大院教授

2015/5/21(木) 12:26配信

THE PAGE

 5月7日、イギリスで総選挙が行われ、保守党キャメロン政権の続投が決まった。以前の記事(「イギリスの政治と日本の政治 何が違うのか」(http://thepage.jp/detail/20150503-00000003-wordleaf))でも解説したとおり、日本とイギリスの政治は違う点が多い。もちろん、イギリスの政治は何でも日本より素晴らしい、と言うつもりは全くない。ただ、イギリスの選挙や政治のあり方から日本が参考にできるものがあるのも確かである。ここでは財政健全化に焦点を当ててみたい。

マニフェスト冒頭に財政健全化

 このイギリス総選挙で重視された争点は財政健全化だったが、実は二大政党である保守党と労働党の主張はそれほど大きく違わなかった。両党とも財政健全化を優先課題として訴えていたのである。

 今回の保守党マニフェスト(政権公約)は、冒頭に財政健全化を掲げている。それによれば、同党の財政健全化への道筋は2段階からなる。第一に、最初の2年間(2016年~2017年)で政府支出を1%ずつ削減する。これは2年間で300億ポンド(約5兆6千億円)の財政健全化を必要とする。第二に、次の2年間(2018年~2019年)で財政黒字を実現する。政府債務を減らしていき、2019年以降はGDPとともに支出も増大していく予定である。

 労働党のマニフェストも、冒頭で財政健全化を訴えている。「財政責任安全装置」と銘打って、(1)マニフェストに載っている政策の財源を十分に手当てし、追加借り入れを行わない、(2)毎年財政赤字を減らしていく、(3)次の議会の任期中にできるだけ早く財政黒字を生み出す、の3点を公約している。

 第三党となったスコットランド民族党が「緊縮財政の終了」を訴えていたものの、以上で見たとおり、今回のイギリス総選挙での議論は財政健全化の方向が基調であった。2010年に誕生したキャメロン政権は財政赤字を着実に減らしてきたが、今後も、マニフェストに従って財政健全化を実行に移すと考えられる。

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最終更新:2015/7/22(水) 3:37
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