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<インド>水不足の影で(その1) ── 高橋邦典フォト・ジャーナル

2015/5/25(月) 20:00配信

THE PAGE

 スラムが密集するムンバイの北部。路面にあいた60センチ四方ほどの穴から、男たちがバケツを片手に、争うように水をかき出していた。地下をとおる上水道のパイプから漏れだした水をポリタンクにつめて持ち帰り、自ら家庭で使ったり、近所に売ったりするという。

 この年、商業大都市ムンバイは稀に見る水不足にさらされていた。雨季の降水量が極端に少なかったためだ。インフラが整わないうえに、年々人口が増加する一方のインド。この国の町や村では、雨が多く降れば洪水になり、逆に少なければすぐに水不足に陥ることになる。 しかし、水不足の原因は天候だけではない。英国統治時代につくられた水道管はいまや老朽化し、無数の破損部からは毎日何トンもの水が無駄に漏れ続ける。また、政治的コネをつかって水を横流しし、利をえる水マフィアの存在も数知れない。

(2010年3月)

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高橋邦典 フォトジャーナリスト
宮城県仙台市生まれ。1990年に渡米。米新聞社でフォトグラファーとして勤務後、2009年よりフリーランスとしてインドに拠点を移す。アフガニスタン、イラク、リベリア、リビアなどの紛争地を取材。著書に「ぼくの見た戦争_2003年イラク」、「『あの日』のこと」(いずれもポプラ社)、「フレームズ・オブ・ライフ」(長崎出版)などがある。ワールド・プレス・フォト、POYiをはじめとして、受賞多数。

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最終更新:2016/1/18(月) 4:49
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