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大阪市で「総合区」導入の動き 「都構想」とどう違うの?

2015/6/2(火) 9:00配信

THE PAGE

 大阪市を解体する「都構想」が住民投票によって退けられ、大阪市域を5つの「特別区」に再編する計画は御破算となった。これにより大阪市の24の「行政区」はそのまま存続することになったが、都構想に反対した陣営などから「総合区」に格上げしようという動きが出ている。行政区に特別区、そこに新たに総合区という初めて耳にするものが加わり、もう訳が分からないという方も多いのではないだろうか。3つの区はどこがどう違うのか、分かりやすく解説したい。

【図】“否決”された「大阪都構想」そもそもの狙いは?

「行政区」=あくまで市役所の一部署

 大阪市に限らず、政令指定都市はどこも市域を行政区で分けている。その数は政令市によって様々だが、いずれも広大な市域を便宜上いくつかに区分し、区役所を設置している。大阪市が24区なのに対し、横浜市は18区、名古屋市は16区、京都市は11区となっている。

 こうした行政区は住民に身近な行政を円滑に行うために設けられたもので、法人格を持っているわけではない。政令市の内部組織にすぎず、行政区が独自に予算を編成したり、大きな権限を持っているものでもない。あくまでも市役所の一部署にすぎないのである。区長も選挙で住民に選ばれるのではなく、部長級の市職員が市長に任命されて着任する。区議会も設置されておらず、住民の声を吸い上げる仕組みになっていない。民意の反映は、行政区ごとに選ばれる市議会議員の役割となっている。

 政令市の議員は行政区ごとの選挙で選ばれる。大阪市の場合は24区ごとに定数2から6の中選挙区制で、市議(86人)が選出されている。文字通り地域の代表として市議会に送り込まれている。中選挙区制のため、市議会で特定の政治勢力が過半数を握ることは事実上、不可能になっている。

「特別区」=区長と区議を選挙で選ぶ

 一方、特別区は一般の市町村と同じ「基礎的自治体」に位置付けられており、東京23区が全国で唯一の特別区である。特別区では区長と区議を住民が選挙で選び、民意を反映させる仕組みとなっている。特別区独自の予算を特別区自らが編成し、事務事業を執行している。行政区とは自治の質が全く異なるのである。

 だが、特別区も完全な基礎的自治体とはいいがたい。市町村が本来、持っている財源と権限の一部を東京都に譲り渡して(取られて)いるからだ。東京23区の固定資産税と法人市民税などを都が徴収し、そのうちの45%を上下水道や消防、都市開発などの広域的事業に活用し、残り55%を都が23区に配分している。また23区は都市計画に関する権限などを持たずにいる。つまり、広域的な事業とその財源を都が握り、一体的に実施しているのである。効率性を追求してのやり方だ。これが東京の都区制度の最大のポイントである。

 東京の23特別区には権限や税収配分などに関する不満が根強く、世田谷区や千代田区のように都区制度から離脱して一般の市になるという独立構想をまとめたところもある。市役所の一部署にすぎない行政区に対し、一般の市に近いのが特別区である。それでは新たに登場した総合区とは何だろうか。

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最終更新:2016/2/6(土) 4:25
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