ここから本文です

19歳の日本最速世界王者を支えた恩師のリングシューズ

2015/5/30(土) 22:37配信

THE PAGE

  WBO世界ミニマム級王座決定戦が30日、愛知県小牧市のパークアリーナ小牧で行われ、同級2位の田中恒成(19歳、畑中)が、同級1位のフリアン・イエドラス(27歳、メキシコ)を3-0の判定で下して、プロ5戦目という日本最速記録で世界ベルトを腰に巻いた。19歳とは思えぬ天性のスピードとセンス。これまでの日本最速世界王座奪取記録は、井上尚弥(大橋)のプロ6戦目だった。岐阜県からは初の世界王者の誕生。名古屋所属ジムでは史上5人目。

 11ラウンドを迎えようとしたとき、19歳、田中の胸裏をかすめたのは、11年前の恩師の悲しき姿だった。
「もしかしたら倒せるかも。いや逆に倒されるかもしれない。一人芝居をしていました」

 田中が、中京高校時代にボクシングの基礎を叩き込まれた監督の石原英康氏は、2004年にカスティーニョ(メキシコ)とWBA世界Sフライ級王座決定戦を戦い、有利に試合を進めていたが、11ラウンドにカウンターで逆転KO負けを喫した。田中は、恩師のリベンジを果たす意味もこめて、高校時代に譲り渡されていた、その石原氏が、世界戦で使ったリングシューズを2年ぶりに引っ張り出して靴裏のソール部分だけを張り替えて履いた。

「相手も先生の試合と同じメキシカン。共に戦う、リベンジの気持ちだった」
 誓いのリングシューズだった。

 リングサイドからは、その石原氏が声を張り上げていた。
「練習で苦しんだことを思い出せ!」
 
 激闘だった。
 スタートからは田中がスピードで圧倒した。左のフックをまるでジャブのような速さでダブルで使い、インサイドから右アッパー。二回には固いガードをこじあけての強烈な右ストレートにタフな相手がグラグラと足元が危なくなってロープまで下がった。打った瞬間、居場所を消すステップワーク。24勝(13KO)1敗のランキング1位のメキシカンが度肝を抜かれている様子が見てとれた。

1/4ページ

最終更新:2016/1/10(日) 4:57
THE PAGE