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表記変更に賛否両論、「箱根山」を「大涌谷周辺」に変えるべき?

2015/6/5(金) 7:00配信

THE PAGE

 神奈川県の黒岩知事は5月27日、箱根の大涌谷周辺で火山活動が活発になっていることに関して、気象庁が用いている「箱根山」の表記を「大涌谷周辺」といった表現に変更して欲しいと述べました。前日の26日には、太田国土交通大臣も箱根町から変更の要望を受け「気象庁の表記を変更できるかどうか検討する」と発言しています。

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 同じく火山活動によって観光客が減少している蔵王温泉でも、キャンセルが相次ぎ、廃業するホテルが出てきています。顧客の減少は、必ずしも火山活動の影響だけとは限りませんが、一連の火山活動が蔵王一帯にとって深刻な事態をもたらしていることは間違いありません。箱根も、大涌谷だけでなく箱根全体が危険であるという印象が広まることによって、観光客が激減するのではないかと地元経済界は懸念しているわけです。

 表現を変更することについては賛否両論があるようです。ネットなどの反応を見ると、箱根の現状を憂慮する発言がある一方「集客ばかり考えている印象で、顧客の安全第一という雰囲気が感じられない」といった手厳しい意見も出ています。

 箱根の場合、大涌谷一体が立ち入り禁止になると、周辺の温泉に影響が出る可能性があることも状況をより悪化させているかもしれません。大涌谷を源泉とする箱根の温泉は、地下から温泉をくみ上げているわけではなく、ポンプで水を大涌谷山頂まで送り、大涌谷から吹き出す高温の蒸気と混ぜることで、人工的に温泉を作り出しています(人工的な温泉ですが、法律上は本物の温泉となります)。高温の蒸気と水を混ぜる装置は常にメンテナンスをしていないとすぐに使えなくなってしまいますから、大涌谷近辺が危険になることの影響は大きいわけです。

 このところ、全国各地で火山活動が活発になっています。相互に関連性があるのかははっきりしていませんが、日本列島全体で活動が活発化している可能性も否定できません。ただ箱根や蔵王といった温泉地域では、昔から火山と付き合って生活してきました。最近になって突然リスクが高くなったというわけではありません。一方で、火山活動は、明確な予兆がなく規模が大きくなる可能性もありますから、油断は禁物です。

 火山活動の活発化によって経済的な打撃を受ける可能性については十分に考慮する必要がありますが、最終的にもっとも大事なのは人の命です。こうした事態が今後も継続的に発生することを前提に、あまり感情的にならず冷静な対応をしていくことが重要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/10/15(木) 4:51
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