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OECDの報告書、あらためて格差拡大が明らかに

2015/6/4(木) 14:00配信

THE PAGE

 このところ格差問題が大きなテーマとなっていますが、所得格差が全世界的に拡大していることがOECD(経済協力開発機構)の調査によってあらためて浮き彫りとなりました。

 OECDが先月21日に発表した格差に関する報告書によると、OECD加盟国における上位10%の富裕層が得た所得は、下位10%の貧困層の9.6倍となり、過去最高水準となりました。同じ指標は、1980年には約7倍、2000年代には9倍だったので所得格差は年々拡大しているわけです。

 一方、資産について見てみると、その差はさらに大きくなります。上位1%の富裕層は全体の資産の18%を、上位10%になると約半分を占めていますが、下位40%は総資産のわずか3%しか所有していません。経済的な格差には、所得の格差と資産の格差の2種類がありますが、資産格差の方が大きくなることがほとんどです。

 たくさんの所得があれば、生活費として消費しなかった分を投資に回すことが可能です。投資した株式や不動産が値上がりすると、その分は追加の利益となりますから、資産を持っている人は、さらに多くの資産を手にするというメカニズムが働きます。

 一部の例外を除いて、資産の原資となるのは、毎年の所得ですから、最終的には所得の格差が資産の格差を生み出す原因と考えてよいでしょう。

 報告書では、所得格差が生じる原因として、非正規労働者の増加と男女間の賃金格差をあげています。1995年から現在までの間に、OECD諸国で創出された仕事の過半数が、パートタイム労働や条件の悪い自営業でした。日本では以前から正社員と非正規社員の格差問題が指摘されていましたが、程度の差こそあれ、これは全世界的な課題となっているようです。非正規社員の多くが若者であるという点や、男女間での賃金格差が問題を悪化させている点など、基本的な図式も同じです。

 格差の過度な拡大は、長期的な成長の阻害要因であるとOECDは指摘しています。また日本に特有の問題として、所得の再分配機能の弱体化をあげています。日本はこれまで、所得を公平に分配する国であると思われてきましたが、このところ貧困率が急上昇するなど、日本の平等神話は崩れています。日本の所得格差は、OECD平均よりも高く、日本よりも再分配機能が低いのは、韓国など数カ国しかありません。日本には超富裕層がほとんどいませんから、格差の原因の多くは貧困といってよいでしょう。これ以上、格差が拡大するような事態となれば、今後の経済成長にもマイナスの影響が出てくるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/7/5(日) 2:39
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