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ビール系飲料の道連れ?「チューハイ増税」議論にみる複雑怪奇な酒税の世界

2015/6/6(土) 17:00配信

THE PAGE

 新聞などの報道で、政府・与党が2016年度の税制改正で「チューハイ」の増税を検討していることが明らかになりました。すでにネット上では「庶民の楽しみを奪うのか」といった反対の声が渦巻いています。はたして、何が起ころうとしているのか。まずは業界団体に意見を聞こう、と取材を始めて驚きました。お酒の世界には、実にさまざまな団体が存在していたのです。

ビール系酒類の税率を55円で統一する動き

 「日本蒸留酒酒造組合」、「日本洋酒酒造組合」、「日本酒造組合中央会」、「ビール酒造組合」。これが、今回コメント取材を行ったお酒の業界団体です。さて、あなたは話題のチューハイを管轄するのがどの団体か分かるでしょうか?

 正解は「日本洋酒酒造組合」です。チューハイの定義は連続式蒸留の甲類焼酎やリキュール類を炭酸などで割ったもの。甲類焼酎は「日本蒸留酒酒造組合」の管轄ですが、その甲類焼酎を使ったチューハイは、発泡酒や第3のビール(新ジャンル)とともに「日本洋酒酒造組合」の管轄になるそうです。ちなみに、乙類(単式蒸留焼酎)と区分されるいわゆる本格焼酎は「日本酒造組合中央会」の管轄です。なんとも、ややこしいですね。

 現在、缶チューハイには350ミリリットル当たり約28円の税金が掛けられています。酒税法上はアルコール分10%未満のリキュールに分類されていて、これは第3のビールも同じです。

 ちなみに、ビールは約77円、麦芽比率25%未満の発泡酒は約47円です。税額が28円の第3のビールと普通のビールでは、実に3倍近い差があります。今、このビール系酒類の税額を55円程度で揃えようとする議論が行われており、そうなると、今までは第3のビールと同じだったチューハイの税額だけが飛び抜けて安くなってしまうことから、「チューハイ増税」が検討されているというのです。

チューハイは第3のビールと同じ区分

 ともあれ、まずはチューハイ増税の当事者ともいえる『日本洋酒酒造組合』の担当者に、意見を聞いてみました。

「まだ具体的に税制論議の俎上に上がってはいないと聞いているのでコメントしづらいが、困ります、としか言いようがない。そもそも、税制改正で議論されているのは、ビール、発泡酒、第3のビールというビール系酒類の税率格差是正問題のはず。ビール系飲料に巻き込まれた道連れ増税となること。また、安価なチューハイという庶民の楽しみを奪いかねない大衆増税であることから、チューハイ増税には反対です」

 “道連れ増税”になりそうな理由 としては、酒税法の定義でチューハイが第3のビールと同じ「その他の発泡性酒類」に区分されている事情もあるようです。「ビールに比べてチューハイが安くなりすぎる」のが増税検討の理由として報じられていますが、酒税法に照らして考えれば「第3のビールが増税されるのであればチューハイも」というのは理に適った論議ともいえそうです。

 とはいえ、チューハイに多く使われている甲類焼酎や、発泡性がない(炭酸を使わない)焼酎割り飲料などの税率はそのままなので、なんとも話がややこしいのです。

 ちなみに「日本蒸留酒酒造組合」と「日本洋酒酒造組合」からは明確に「チューハイ増税には反対」というコメントをいただきました。甲類焼酎のライバルともいえる本格焼酎を管轄する「日本酒造組合中央会」からは「まだ決まったわけじゃないでしょ。ノーコメントです」という返事。減税が検討されているビールを管轄する「ビール酒造組合」は「ビール類の税率変更とは関係ないでしょ。組合が関与していない他の商品酒類についてお話しすることはありません」とのことでした。

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最終更新:2015/11/8(日) 4:28
THE PAGE