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米国自由法成立でNSAの情報収集を大幅に制限

2015/6/13(土) 7:00配信

THE PAGE

 基本的人権とテロ対策の狭間で激しい議論の対象となってきた米国の愛国者法(情報収集関連規定)が6月1日に失効しました。これによって、情報当局が広範囲に個人情報を取得することができなくなりましたが、米議会は代わりに「米国自由法」を可決。当局による情報収集を認めるものの、その内容を大幅に制限することになりました。

 米国の情報当局は、2001年9月に発生した同時多発テロ以降、電話やメールの盗聴など、広範囲な個人情報の大量収集を行ってきました。その根拠になっていたのは、テロ対策のために一部の人権を制限することができる愛国者法です。しかし、CIA元職員のエドワード・スノーデン氏が、NSA(国家安全保障局)による情報収集の実態を暴露したことで、政府に対する批判が高まっていました。

 米国は世界でもっとも民主主義が発達した国ですが、一方で情報当局による国民への過剰な監視や政治干渉といった暗い歴史も持ち合わせています。FBI(連邦捜査局)のフーバー長官(在任期間1924~1972年)は、FBIの捜査能力を悪用し、政治家や著名人のスキャンダルを探り、彼等を脅迫することで、FBIの予算確保や自らのポストの維持を行っていました。市民のプライバシー保護も重要ですが、行き過ぎた監視は、特定の勢力によって政治が機能しなくなるという、もっと重大な問題もはらんでいるわけです。

 オバマ大統領は国民からの批判の声を受け、NSAによる個人情報の収集を認める代わりに、収集作業に一定の制限を設ける見直し案を発表していました。今回、可決成立した「米国自由法」は、基本的にこの見直し案に沿った内容となっています。5月に下院で、6月に上院で可決され、オバマ大統領が署名したことで最終的に法律として成立することになりました。

 米国自由法では、複数の通信回線を使う容疑者の通信傍受、過激派組織に属さない容疑者の監視については、愛国者法と同様、引き続きNSAが実施できるとしています。一方で、一般市民の情報を広範囲に収集することは禁止となり、実施する場合には裁判所の令状が必要となりました。令状の請求手続きも透明化されたことから、当局が勝手に情報を収集することはできなくなっています。またデータの保管は通信会社に限定されることになり、NSAが直接データを管理することもできません。

 議会の一部からは、引き続き、当局が広範囲な情報収集を継続できるという点では何も変わっていないという批判があり、審議は難航しました。愛国者法が失効する6月1日になっても法案がまとまらず、米国政府の情報収集活動が停止するという事態になっていましたが、今回の可決によって、情報収集は再開されることになりました。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/8(月) 4:46
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