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憲法改正を意識? 「18歳以上に選挙権」は参院の審議待ち

2015/6/11(木) 7:00配信

THE PAGE

 公職選挙法の改正案が4日の衆院本会議で可決されました。参院での審議を経て6月中旬にも成立する見通しです。これによって、選挙権の年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられることになります。これにはどのような背景があるのでしょうか。

<国民投票法>3つの「18歳」があるってどういうこと?

投票率を向上させる効果

 選挙権の年齢を引き下げるのは、若い世代の政治に対する参加意識を高め、投票率を向上させることが狙いといわれています。諸外国では18歳から選挙権を付与しているところが多く、国際的な状況に合わせるという面もあるようです。

 今国会で法案が成立すれば、来年夏の参院選から新たに約240万人が投票可能となります。全有権者数は1億人を超えていますから、あらたに240万人が加わっても数としてはそれほどの違いにはなりません。しかしながら、70~74歳の高齢者の投票率が7割を超えているのに対して、20~24歳の投票率は30%程度とかなり低くなっていますから、若者の政治意識の高まりによって投票率を向上させる効果は期待できるかもしれません。

永田町では別の論理が?

 もっとも永田町という権謀術数の世界では、もう少し別の論理も働いているようです。このタイミングで選挙権年齢の引き下げが急に浮上してきたのは安倍政権が進める憲法改正への動きがあるといわれています。

 日本国憲法は元来、内容を変更することをほとんど想定していませんでしたから、憲法改正の具体的な手続きを規定する法律は存在しませんでした。憲法改正の手続きに必要となる国民投票の権利を何歳以上の国民に付与するのかも決まっていなかったわけです。

 こうした状態を解消するため、2007年5月に「日本国憲法の改正手続に関する法律(憲法改正国民投票法)」が施行され、昨年にはこの一部を改正する法律が公布されました。これによって、2018年6月21日以後に実施される国民投票からは投票権年齢が18歳以上に引き下げられることになりました。憲法改正の国民投票が18歳以上なのに、通常の選挙が20歳以上ということでは整合性が取れないことから、今回の法改正につながっています。

 表面的には若者の意見を取り入れるということですが、政治家にとって選挙は命の次に大事なものです。18歳から20歳までの有権者を取り込んだ方が有利になるのか不利になるのかで相当な利害関係の調整があったといわれています。

実際の運用には課題も

 また、20歳以下の若者にしっかりとした判断をしてもらうためには、政治に対して高い意識を持ってもらう必要があります。しかし、高校生に対する政治教育は特定の政党に有利になりかねないとして批判の声も出ており、実際の運用にはいろいろと課題がありそうです。

 本来、選挙権を持つのは成人である方が望ましいわけですが、現状では民法における成人年齢や少年法の適用年齢と選挙権の年齢が食い違っています。憲法改正の手続きありきという状態になっており、議論が拙速であるという印象は否めません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/14(木) 3:49
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