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米国が最大の産油国に。世界はどうなる?

2015/6/18(木) 9:00配信

THE PAGE

 米国がサウジアラビアを抜いて、とうとう世界最大の産油国に躍り出ました。これにはどのような意味があるのでしょうか。

 英国の石油大手BPが発表した2014年のエネルギー統計によると、米国はサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になりました。米国でシェールオイルの増産が続いたことが主な原因です。

 2014年における米国の原油生産量は1日あたり1164万4000バレルで前年と比較すると16%も増えました。昨年まではサウジアラビアがトップだったのですが、生産量は約1%しか増えず2位になりました。

 米国が原油生産で首位になるのは約40年ぶりのことです。米国では、ここ数年シェールオイルの開発が進んでおり、原油の生産量が急激に増加しました。この影響で石油の余剰が意識され、原油価格は1バレルあたり100ドルから一時は50ドルまで急落しています。原油価格の急落でシェールオイルの開発も停滞すると思われましたが、減産はあまり進まず結果的に米国は最大の産油国になったわけです。

 最近では再生可能エネルギーが何かと話題ですが、石油は今でも世界におけるエネルギー源の主役です。これまでサウジアラビアを中心とする中東の産油国は、OPEC(石油輸出国機構)を組織し、国際政治に対して絶大な影響力を行使してきました。先進国に対して強気の交渉が出来たのも、石油という重要な資源を握っていたからです。しかし、産油国トップの座が米国に移ったことで、今後はOPECの政治力が急激に低下する可能性が取り沙汰されています。また米国が中東の石油に依存しなくなったことで、米国の外交政策も大きく変化することになるかもしれません。

 米国はこれまで中東政策を外交政策の中心に据えてきましたが、その背景には中東の豊富な石油資源があることは言うまでもありません。いろいろと批判されることが多いイラク戦争も、石油の利権が大きく関係しています。

 しかし、米国が最大の産油国になったことで、理論的にはすべてのエネルギーを自給できる状況が整いました。中東の石油に頼る必要がありませんから、必然的に米国の中東政策の優先順位は下がることになるでしょう。それに伴い、米国とイスラエルの関係も見直しが行われる可能性があります。

 米国はこれまで原則としてエネルギーの輸出を行ってきませんでしたが、豊富な石油資源を背景に、その方針が変化しつつあります。米国産の安い天然ガスを日本に輸出するプロジェクトも進んでおり、円安による資源価格の高騰に悩まされる日本にとってはメリットが大きいかもしれません。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/21(木) 3:44
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