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米国防総省主催の災害ロボット・コンテスト、影の主役はグーグル

2015/6/22(月) 10:38配信

THE PAGE

 米国防総省が主催するロボット・コンテストの結果が話題になっています。韓国が1位となり、日本勢が惨敗してしまったことが大きく取り上げられていますが、これは表面的な出来事に過ぎません。目立たない形でグーグルによるロボット市場の支配が進んでいるというのが実態です。

 このコンテストは、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催したもので、自動車の運転やドアの開閉など8つの作業で優劣を競います。原発事故のような人間が近づけない災害現場を想定しているとのことですが、主催者が国防総省であることからも分かるように、最終的にはロボット兵器の開発に応用する目的があると考えてよいでしょう。

 日本は国をあげてロボット技術を支援しており、研究拠点の整備や開発費の支援などを行っています。日本からは、産業技術総合研究所(産総研)など5チームが参加しましたが、結果はさんざんでした。1チームは棄権し、残りの4チームも入賞には遠く及ばず、産総研の10位が最高でした。

 報道では、日本勢が惨敗だったことや、韓国が1位になったことなどが主に取り上げられていましたが、このコンテストの影の主役はグーグルだったようです。

 2013年12月に行われた予選で断トツのトップとなり、今回の決勝においても優勝の大本命だったシャフト(SCHAFT)は何と決勝の出場を辞退してしまいました。シャフトは、もともと東大発のロボット・ベンチャーとしてスタートしたのですが、予選出場の直前にグーグルに買収されており、すでに日本の会社ではありません。グーグルは秘密裏に開発を進める方針で、同社はグーグル入りして以後、一切の取材を受け付けなくなっています。水面下では相当なレベルまで開発が進んでいるといわれており、もはや決勝に出場する意味がなくなったことが辞退の理由と考えられます。

 またグーグルは、今回、決勝に参加したチームのうち、実に7チームに対してロボットを提供しています。2位に入ったフロリダ大学などが使っているロボットはアトラスという機種なのですが、これはグーグル傘下のロボット企業であるボストン・ダイナミクスが製造しているものです。

 つまりグーグルは、優勝候補のロボットを保有していながら決勝出場は辞退させ、一方では、関係会社を通じて、他の多くのチームに別のロボットを提供していることになります。もしかするとグーグルは、今回のコンテストで好成績を残した他のロボットや人材を買収するつもりなのかもしれません。

 多額の予算を付け、独自技術でロボットを開発するのはすばらしいことですが、すでに圧倒的な地位を確立しているグーグルという存在についても直視する必要があるでしょう。いくらすばらしい要素技術があっても、これらが有機的に結びつき、産業として開花しなければ意味がないからです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/8/23(日) 3:40
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