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就職バブル期の再来か? 今年の就活はホントに楽勝?

2015/6/19(金) 11:00配信

THE PAGE

 実際、就職活動モニター学生からは「内定が欲しければ、もう就職活動をしない旨の内定承諾書にこの場でサインするように言われた」、「内定通知から入社の意思確認を1週間で決めるよう言われ、2日に1回の頻度で電話がかかってくる」、「自由応募で受けたはずなのに、教授推薦書の提出を求められ、出せなければ内定はなかったことにすると言われた」などなど。誓約書に法的拘束はないと知っている学生も多いですが、「やはりプレッシャーや心苦しさがある」と言います。ディスコの6月調査では、内定学生のうち、こうした「オワハラ」を受けたことがあると回答したのは12.9%。学生の中にも「プレッシャーは感じるけれどハラスメントとまでは思わない」という意見もありますが、これからも「心理的拘束」は増える可能性があり、学生の負担は増してくるでしょう。
 
 「人手不足」「売り手市場」と、キーワードだけみると似て見えるバブル期と今の就職活動。にもかかわらず就活の実態がこれほど大きく異なるのはなぜなのでしょうか。理由はいくつか考えられますが、やはり大きいのは大学生を取り巻く環境の違いではないかと思います。

 大卒求人倍率が2.86倍と最も高かった1991年卒者の場合、四年制大学への進学率は25%で、1学年の人数は約45万人でした。大学設置基準の緩和(1991年)で大学の数が1.5倍に増えた結果、今就活を行っている2016年卒者の場合は大学進学率が50%を超え、1学年で60万人もいます。この25年間で「大学生」というブランドの価値は下がり、一方で産業界が求める大学生の数(求人数)は、ここ数年で大きく回復したとはいえ、バブル期に比べればまだまだ少ない。今と当時では受給バランスが異なるのです。

4.見倣うは、バブル期社員!?

 日本の就職活動の良い点を挙げるとしたら、就活のプロセスの中で社会準備ができるという点です。学生は、業界・企業研究や何回もの面接を通して確実に成長します。中には就活前と後とで別人のようになる人もいます。欧米と違って就業型のインターンシップが未発達で、なかなか社会とリアルな接点を持ちにくい環境において、就職活動を経験すること自体が成長につながるのが、この国の大学生の特徴です。そうすることで、最終的には自分に合う会社を見つけていけるのです。あっけなく内定が出た人も、苦労してやっと内定が出た人も、これから本命企業を受ける人も、売り手市場という追い風が吹き、スケジュールが繰り下がった今だからこそ、自分に合う企業(仕事)なのかをじっくり考えて、自分にフィットする最適な1社に決めてほしいと思います。

 きっとバブル期の先輩たちが、いい意味でも悪い意味でもお手本になるはずです。内定先企業にバブル期に入社された先輩社員がいたら、ぜひ話を聞いてみてください。

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武井房子(たけいふさこ)
株式会社ディスコ キャリアリサーチ 上席研究員。1970年生まれ。1993年株式会社ディスコ入社。採用広報営業部にて、主に化学、機械、エネルギー業界等を担当。1997年調査部門に異動し、企業調査ならびに学生モニター調査の設計、実施、分析等を手掛ける。1999年~2007年には、顧客向け情報誌『人と採用』編集長を兼務。1年間の育児休暇取得後、2009年に復職。現在、大学生や企業の採用担当者、留学生などを対象とした調査を年間約20本実施。年々広がる就活生とのジェネレーションギャップをものともせず、数多くのインタビュー調査を自ら企画・敢行し、就活生の本音をウオッチし続けている。

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最終更新:2016/2/22(月) 3:46
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