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株主総会ラッシュ、なぜみな同じ日にやるの?

2015/6/25(木) 6:00配信

THE PAGE

 現在、日本は株主総会ラッシュを迎えています。最近では分散開催する傾向が強まっていますが、それでも6月26日には全体の約4割にあたる977社が株主総会を開催します。なぜ、多くの会社が株主総会を同じ日に開催するのでしょうか。

 株主総会を集中開催するようになったのは1990年代からといわれています。当時は総会屋が社会問題となっており、これに対処するためというのがその理由です。

 総会屋は、会社のスキャンダルなどを握り、株主総会で追及しないことを条件に金品を要求する人たちのことを指します。本来、こうした不当な要求は断固として拒否しなければなりませんが、スキャンダルの表面化を恐れた企業の中には、安易に金品を払うところも少なくありませんでした。

 こうした事態を打開するため、1981年には商法が改正され、企業による総会屋に対する利益供与に対して罰則が設けられるようになりました。しかし、総会屋の活動はなかなか沈静化せず、「荒れる」株主総会が続きました。このため、多くの企業が株主総会を同じ日に開催するようになったのが、ことの始まりです。また株主総会のやり方も大きく変わりました。森総合法律事務所(現、森・濱田松本法律事務所)のパートナーだった久保利英明弁護士が提唱したといわれる一括上程・一括審議方式も、総会屋に対抗するために編み出された手法です。集中開催がピークとなった1995年には実に96%の企業が同じ日に株主総会を実施しています。

 こうした取り組みが功を奏し、総会屋の活動は縮小していきましたが、集中開催するという慣行は残ったままで、次第にこれが大きな弊害をもたらすようになってきました。機関投資家など多数の企業に投資をしている投資家が、投資企業の株主総会に参加できないという問題です。これは海外の機関投資家からも批判され、最近になってようやく分散して開催する傾向が出てきたという状況です。

 総会屋の活動が沈静化した現在、わざわざ集中日に開催する理由はありません。トヨタ自動車など高い業績を上げている企業ほど、集中日以外に開催し、じっくりと株主と対話しようという姿勢が見られる一方、業績不振な会社は集中日に開催しようとする傾向があります。

 安倍政権はコーポレートガバナンス改革を進めており、これまで以上に企業は株主を重視する必要に迫られています。集中開催という慣行は今後ますます薄れていくでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/28(木) 4:12
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