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アマゾンが個人への配送委託を検討、社会はどう変わる?

2015/6/28(日) 7:00配信

THE PAGE

 米アマゾンが、運送会社ではなく一般の個人を使って商品の配送を行うことを検討しています。米国ではネットを介して、あらゆる仕事が無数の個人に開放されようとしており、この動きは間もなく日本にも波及してくる可能性が高いと考えられます。こうしたネットによる効率化は社会にどのような影響を与えるのでしょうか。

 米メディアが報じたところによると、米アマゾンは、一般の人が移動のついでに目的地に近いエリアに商品を届け、その代金を受け取ることができるアプリを開発しているそうです。これが実現すると、友達の家に行く前に、アマゾンのアプリを立ち上げ、友達の家の近くに荷物を配送する先がないかをチェックし、もしあれば配送を行い代金を受け取る、といったことができるわけです。自分の用事を済ますついでにお小遣いをもらえる感覚ですから、多くの人が配送請負人として登録する可能性があると考えてよいでしょう。

 実は、荷物を送りたい人と荷物を運びたい人をネットでマッチングし、宅配業者の代わりに荷物を届けるサービスは米国では現実のものとなっています。アマゾンが参入することで、このサービスは一気に拡大することが予想されているのです。

 ネットを介して、個人が仕事を請け負うサービスが社会に普及することになると、世の中の風景が一変する可能性があります。これまで、事業者でなければできないと思われていたことの多くが、個人にも開放されるからです。

 宅配事業者や郵便局は、全国、津々浦々まで荷物を配送するため、莫大な投資を行い多数の配送担当者を配置してきました。しかし、こうしたネットのサービスで希望者をマッチングすることができれば、専属事業者の規模は実は数分の1で済むかもしれないのです。同じようなことがあらゆる業界に適用されることになるでしょう。

 ネットを使えば社会インフラを劇的に効率化できるひとつの典型例といえますが、一方では大きな問題もはらんでいます。社会は、壮大なムダが存在するおかげで多くの雇用が維持されてきたという側面があります。あらゆる業種に網の目のように規制が存在している日本の場合はなおさらでしょう。社会システムがネットで効率化されてしまうと、多くの雇用が失われ、それに変わる新しい仕事を見つけるのが困難になってしまいます。本来であれば、余剰となった人材は、より付加価値の高い新しいサービスに再配置されるのが理想的ですが、スキルの問題もあり、そう簡単にはいきません。

 イノベーションとは無縁で高コスト・低効率である代わりに多くの雇用が存在する社会と、イノベーティブで低コスト・高効率ですが、雇用が少ない社会のどちらがよいのか、そろそろ本気で考える必要がありそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/8/29(土) 4:39
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