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<イチから分かる>米FBIも捜査 FIFA汚職は何が問題になっているの?

2015/6/27(土) 15:00配信

THE PAGE

 FIFA(国際サッカー連盟)の汚職事件で、元FIFA副会長のジャック・ワーナー氏を含む7人が逮捕、関係者15人が起訴されてから1カ月近くが過ぎました。この間、FIFAのゼップ・ブラッター会長が5期連続で会長に再選した直後に辞意を表明し、各国のメディアもFIFA幹部の不正行為に関する報道を連日繰り広げるなど、「FIFA汚職」をめぐる混迷がますます深まっています。いったい、FIFAはなぜ今回摘発され、何が問題になっているのでしょうか。

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ブレイザー元理事と司法取引で捜査進展

 「FIFA汚職」の捜査は最近になって突然始まったものではありません。関係者15人の起訴に踏み切った米国の司法省は、FBI(連邦捜査局)、IRS(内国歳入庁、日本でいう国税庁)とともに大がかりな合同捜査チームを結成し、すでに5年以上前から捜査を開始していました。今回の摘発では、1997年から2013年までFIFA理事をつとめた米国のチャック・ブレイザーという人物がキーマンとなったのですが、FBIとIRSは2011年の時点でブレイザー氏に近づき、10年以上に及ぶ脱税を指摘して捜査に協力するよう求めています。

 脱税での検挙と情報提供者になることの二択を迫られたブレイザー氏は、FBIの捜査協力に同意し、2012年のロンドン五輪の際には小型マイクが仕込まれたキーホルダーなどでFIFA幹部らとの会話を録音。米司法省はこうした情報をもとに、賄賂のやりとりなど、FIFA幹部や関係者を逮捕・起訴するのに十分な証拠を集めていったとされています。今回のFIFA汚職は、一般的に欧州に比べてサッカー人気が高くないといわれる米国の司法省が主体となって捜査を進めているわけです。FIFAの本拠地があり、関係者7人を逮捕したスイス司法当局も、米司法省と連携し、米国からの依頼を受けて逮捕に動いています。

直接のきっかけはコパ・アメリカめぐる賄賂

 では、なぜ米国はFIFA汚職の摘発に踏み切ったのでしょうか。直接的なきっかけとなったのは、来年に米国で開催されるコパ・アメリカ100周年特別大会に関連して1億ドル以上の賄賂が関係者に渡っていた問題です。しかし、米国はそれ以上に、FIFA汚職を「米国内で行われた重大な犯罪」と考えているようです。FIFA幹部の不正行為は、主に米国内の金融機関の口座が利用され、マネーロンダリングや脱税にも使われていました。汚職の規模も巨大で、米司法省は過去24年間で少なくとも1億5000万ドル(185億円)以上の贈収賄が行われていたと発表。こうした不正行為が、結果的に米国のメディア産業をも歪め、米国の消費者の不利益につながっているというのです。

 実際、米司法省のリンチ司法長官は、就任前は司法省内でFIFA汚職の捜査チームを指揮していました。FIFA幹部の逮捕・起訴が行われたのは、リンチ氏が長官に就任して間もない時期です。米司法省が腐敗体質のFIFAを「汚職のワールドカップ」ときびしい言葉で非難していることなどを考えると、今回のFIFA汚職の摘発は米国による「国策捜査」という部分もあるのかもしれません。

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最終更新:2016/1/30(土) 4:11
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