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一粒千円のイチゴはなぜ売れる?被災地発のブランド化戦略とは

2015/7/1(水) 12:00配信

THE PAGE

「人の情緒に訴える商品を」

 次に手がけたのが、イチゴのブランド化だ。「今までイチゴの値段は、大きさ、色、形、甘さといった機能的価値で決まってきた」と、同社の財務・営業統括の塔本幸治さんは語る。「ミガキイチゴ」は品種の名前ではなく、品種自体は栃木発祥の「とちおとめ」や宮城の「もういっこ」。一定の水準を満たした甘さや大きさのよいものを厳選してはいるものの、それだけでは福岡の「あまおう」や栃木の「スカイベリー」など、知名度が高く味に定評のある商品に勝てない。

 そこで考えたのがまず、商品コンセプトを自分で食べるものから「人に贈るもの」に変えることだった。「贈答用となると、人が買うときの判断基準も、甘さや大きさといった機能的価値から、パッケージのおしゃれさや商品を開いたときの美しさなどに変わってくる。人の情緒に訴えることで、今までどこにもない、替えのきかない商品になった」と、塔本さんは説明する。

 「開けたとき、ワーッとなることを大切にしている」という商品パッケージは、大手広告代理店の社員がプロボノ活動(職業専門性を生かしたボランティア)として手がけたもの。イチゴのケースには宝石のロゴマークが施され、「ミガキイチゴ」との名前も付けた。

 イチゴの「見せ方」にはこだわりがある。同じ大きさのものをぎっしりきれいに敷き詰め、ヘタの付近にも白いところがないよう、実がすべて真っ赤になってから収穫。極力実を手で触れない摘み方で収穫し、輸送中にも痛まないよう、イチゴは一つ一つ緩衝材で包まれている。20~30代の働いている女性にターゲットを定め、ブロガーの女性などを集めてお披露目パーティーも開いた。

 こうして誕生した「ミガキイチゴ」は、2012年冬から出荷を開始。伊勢丹新宿本店での取り扱いを打診したところ、店頭で1個千円の値段で販売されることが決定した。「ミガキイチゴ」はそれから例年伊勢丹の各店舗で販売されるようになり、地元宮城県の百貨店・藤崎や仙台空港などでも取り扱われるように。今年からは夏イチゴの生産も始まり、7月には新宿伊勢丹本店に「ミガキイチゴ・サマーエディション(仮)」が並ぶ予定だ。

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最終更新:2018/10/4(木) 17:50
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