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劇的ドラマにつなげた、なでしこJの愚直な守備力

2015/7/2(木) 11:37配信

THE PAGE

 これがサッカーか。
 女子W杯の準決勝の対イングランド戦。

 ロスタイムの3分。相手のパスをカットした最終ラインの熊谷から右サイドのスペースにいた川澄へ。
「相手のサイドバックが下がっていたのが見えたので、仕掛けていくと、いいところにボールを上げれると思いました」。冷静に判断した川澄がドリブルでタイミングをうかがってアーリークロス。大儀見と岩渕の2人が、同時にゴールを目指して走りこんだ。必死に戻ったバセットが右足を伸ばしてクリアしたが、そのボールは、ゴールの右隅に跳ね返って、ゴールラインを割る決勝のオウンゴールに変わる。

「中に大儀見選手と、岩渕選手がいてくれたので結果的に、ああいう形になったのだと思います」

 “準決勝ガール”川澄も興奮が冷めやらない。
 4年前のワールドカップでは、同じく準決勝のスウェーデン戦で、先発抜擢された川澄が、同点、駄目押しの2ゴールを叩き込んでシンデレラガールになった。

 今大会は、まだゴールがなかったが、ここ一番での勝負強さは健在だった。
 準決勝での縁を試合後に聞かれた川澄は、「そうですかね? (私が)得点を決めて、すんなりといけばよかったかもしれないですが、ワールドカップは、そんなに簡単に勝てるところじゃない」と答えた。
 
 互いにPKで得点を奪い、同点のまま、ゲームは後半に入ったが、流れはイングランドだった。
 縦へ縦へとボールを蹴り、7センチの身長差を生かした高さで圧倒しようとするシンプルなサッカーに手を焼いた。佐々木監督も、試合後、「おもいのほか、イングランドの動きが非常によかったですし、相手のシンプルな展開が、なかなか受けきれなくて、ボールを動かしてリズムを変えるということもできませんでした」と振り返る。
 川澄も「相手もかなり前からきていたので、押し返しても、なかなかつなげなかった」という。
 
 ボールを持てず、ワンタッチ、ツータッチでスピード感を持ってボールを動かしていく、なでしこらしいパスワークを使えない。大儀見が、タメをつくってからの大野とのコンビネーションも少なく、川澄、宮間らが、中に入ってボールに触る機会も見られなかった。それでも最後の最後のドラマを演出したのは、粘り強く愚直に役割を果たしたディフェンスだろう。

 1対1のフィジカルでは劣るが、しっかりと組織的なブロックを作り、2人、3人と人数をかけ、宇津木、阪口のボランチコンビがうまくバランスをとった。高さには体を寄せ、ロングボールの出所は、抑えられなかったが、蹴られても、運動量と予測力で対応していく。大儀見はPKにつながるファウルを取られたが、フォワードも、司令塔の宮間も、全員で守った。佐々木監督は「思ったように疲労が抜け切れていなかった」というが、攻撃面でのパスミスは目立ったが、ディフェンスの運動量は、イングランドに負けていなかった。

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最終更新:2016/2/7(日) 4:14
THE PAGE

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