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プエルトリコのデフォルト、どんな影響がある?

2015/7/4(土) 7:00配信

THE PAGE

 ギリシャの債務問題に世界の注目が集まっていることから、あまり報道されていませんが、同じタイミングで債務不履行に陥った地域があります。米国の自治領であるプエルトリコです。

 プエルトリコのガルシア知事は6月29日、総額720億ドル(約8兆8000億円)に上る債務の返済ができなくなったことを明らかにしました。債権者に対しては、返済期日の延期と減額に応じるよう求めています。その後、債務を一部返済し、また猶予も認められデフォルトはひとまず回避しました。

 カリブ海に位置するプエルトリコは、米国のコモンウェルスという特殊な位置付けにある自治領です。合衆国を構成する州ではありませんが、外交面や軍事面は連邦政府の管轄となっています。一方、内政については、自治権があり、独自で議員や知事を選出しています。米国の大統領を選出する権限や米国の連邦議会に参加する権利もありませんが、議会に議決権を持たない代表を送り出しています。

 プエルトリコのGDPは約12兆円で、ギリシャの半分程度の規模があります。1人当たりのGDPは350万円と意外に高く、日本の8割の水準があります。ギリシャの1人当たりのGDPは270万円、メキシコは130万円ですから、かなり豊かな国といってよいでしょう(ちなみに米国本土は680万円もあります)。

 プエルトリコは完全に米国経済圏に属しており、連邦政府が設定した優遇税制によって、数多くのグローバル企業が進出していました。しかし、米国政府が財政再建を進める中、これらの優遇措置の縮小が行われたことで、市場としての魅力が薄れ、プエルトリコの景気後退が鮮明になっていました。米国本土はリーマンショック後、順調に経済が拡大する中、プエルトリコは逆方向となってしまったわけです。

 景気の低迷で税収が減ったことから、プエルトリコの政府債務はここ10年間で2倍近くに増加しました。GDPに対する政府債務の割合は75%程度ですので、日本(250%)やギリシャ(180%)と比較すると低い水準ですが、経済規模の絶対値が小さいですから、政府債務の増大の影響はより大きくなると考えてよいでしょう。

 プエルトリコの債券は利回りが高く、一部は米国の投資信託などにも組み入れられています。債権者との協議内容にもよりますが、金融市場への影響という意味では、もしかするとギリシャよりも大きいインパクトをもたらすかもしれません。もっともプエルトリコ政府は、財政改革に着手しており、赤字の規模は縮小しつつあります。またプエルトリコ債の金利急騰が始まってから2年程度の時間が経過していることから、市場もある程度はこうした事態を織り込んでいると考えてよいでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/7(木) 4:04
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