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ギリシャは実質的にユーロ離脱の可能性も デュアル・カレンシーとは?

2015/7/7(火) 6:00配信

THE PAGE

 EUが求める緊縮策の是非を問うギリシャの国民投票は、反対が賛成を上回るという予想外の展開となりました。チプラス首相は、再びEU側と交渉する方針を明らかにしていますが、EUがこれを受け入れるのかは分かりません。

 ギリシャ政府は、IMF(国際通貨基金)に対する15億ユーロ(約2000億円)の支払ができず、事実上のデフォルト状態にあります。しかしIMFは市場の混乱を恐れ、正式にデフォルト宣言は行わず「延滞」という扱いにしてギリシャに時間的な猶予を与えていました。ギリシャ側が緊縮策の受け入れについて、国民投票を実施すると主張していたからです。

 市場関係者の多くは、ギリシャ国民が緊縮策を受け入れると考えていましたが、フタを開けてみると結果は正反対でした。国民の過半数が緊縮策に反対票を投じていたのです。

 EU側のホンネとしては、ギリシャにユーロ圏から離脱してほしくはありません。しかし、一種の開き直りともいえるギリシャの姿勢を目の前にして、これ以上譲歩してしまうと、モラルハザードを引き起こしかねない状況です。EU側は難しい選択を迫られたといってよいでしょう。

 もしEUが交渉のテーブルに着くことになれば、再びギリシャとEUは長いやりとりを続けることになるかもしれません。しかし、市場関係者の一部は、EU側のスタンスとは関係なく、ギリシャが実質的に旧通貨であるドラクマを使わざるを得なくなると考えています。その理由は、これまでとは異なりギリシャ国内にはほとんど資金がない状態だからです。

 ギリシャの銀行は現在、ECB(欧州中央銀行)から資金繰りの支援を受けていますが、それでも預金の引き出しに対応できず、休業措置が取られています。このままでは、ギリシャ政府は公務員の給与やその他の支払いが一切できなくなってしまいます。ECBが追加の支援を実施しない場合には、政府は、一種の約束手形であるIOUを発行し、これを現金の代わりにせざるを得ない状況に追い込まれる可能性があります。IOUはユーロとは異なり、ギリシャ政府に対する信用しかその価値を担保するものはありません。実際にこの手形が使用されると、額面が100ユーロであっても、50ユーロあるいは10ユーロといった価値しか持たないことになるでしょう。

 仮に手形の券面にはユーロと書いてあっても、それはもはやユーロではなく、実質的な旧通貨ドラクマを発行したことと同じになります。これは、一国の中に複数通貨が混在する状況(デュアル・カレンシーと呼びます)であり、経済破たんした途上国などではよく見られる光景です。ユーロ圏離脱といっても、必ずしも明示的に離脱宣言が出されるとは限らないわけです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/8/7(金) 2:38
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