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日本郵政の上場でサービスは変わるのか

2015/7/8(水) 9:00配信

THE PAGE

 今年の秋ともいわれる日本郵政グループの上場が近づいてきました。2007年の郵政民営化以来、8年を経て上場にこぎ着けたわけですが、上場するとなると高い収益が求められるようになります。既存のサービスに変化はあるのでしょうか。

 日本郵政グループの事業は主に、郵便事業、銀行業、生命保険業の3つで構成されており、それぞれについて、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命が担っています。同社は4月に中期経営計画を発表しており、主要3事業における収益力強化と他の事業分野の開拓をうたっています。

 2014年度における連結純利益は約4200億円となっていますが、2017年度には4500億円程度まで増加させるとしました。また配当性向を50%以上とし、株主に対する利益還元を強化する方針も打ち出しています。4500億円のうち、3300億円をゆうちょ銀行が、800億円をかんぽ生命が稼ぎ出す構図となっており、金融2事業で全体の利益のほとんどをカバーします。したがって、既存の郵便事業は、全社的にみれば非常に小さな業務ということになるわけです。

 この状況で、今後も高い利益成長を実現するとなると、既存事業の高収益化だけでは不十分です。同業種や多業種の買収など積極的なM&Aを行うことで、全体の収益を高めていく方向性となるでしょう。その意味では、既存のサービスの見直しというよりも、新規事業分野への進出という面が強くなると考えられます。中期計画では、2015年度から2017年度にかけて約2兆円の大型投資を見込んでいますが、このうち、M&Aなどを含む戦略投資には約8000億円が、不動産開発投資には700億円が投じられる予定です。

 これまでのところ、郵便局数は2万4000局前後で推移しており、数を減らす動きは見られません。また過疎地域における郵便局の営業店舗数も変わっていませんから、当面は既存のサービスは継続すると考えてよいでしょう。

 ただ、宅配便「ゆうパック」事業は黒字化が困難な状況が続いていますし、郵便物の引き受け件数は、人口減少とネットの普及によってマイナスが続いています。これにともなって郵便収益は低下の一途を辿っている状況です。今後、収益拡大の見通しがまったく立たないという場合には、既存サービスの見直しも視野に入ってくるかもしれません。

 日本郵政グループの上場に対しては、民業圧迫という観点から疑問視する声もあるのですが、既存の民間企業を打ち負かし、新規分野への本格参入に成功すれば、既存のサービスは維持される可能性が高くなってきます。逆に新規事業がうまくいかないとなると、既存事業に対してもメスが入ることになるかもしれません。国民にとってはどちらがよいのか悩ましいところでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/17(水) 4:24
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