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「日本の企業は収益力が弱い」通商白書が大胆に指摘、営業利益率は10%以下

2015/7/9(木) 12:00配信

THE PAGE

 政府は3日、2015年版の通商白書を公表しました。このところ景気に明るい兆しが見えていますが、白書では、日本企業の収益力の弱さを鋭く指摘しています。多くの日本人にとっては耳の痛い話かもしれませんが、こうしたネガティブな情報にこそ私たちは真摯に耳を傾けるべきでしょう。

 白書では、まず日本の貿易収支、経常収支の変化について言及しています。日本は戦後一貫して、工業製品の輸出によって貿易黒字が続いてきました。輸出増大によって設備投資が増え、雇用も増加することで、内需も活発になるというサイクルが確立していたわけです。しかし近年は、貿易収支が赤字になる一方、これまで蓄積した外貨からの投資収益(所得収支)は拡大しています。つまり日本の産業構造は、単純な輸出から現地生産や投資へと大きく変化しているわけです。

 日本はアベノミクスのスタート以後、円安に転換しました。当初は円安になれば輸出が復活すると考えられていましたが、現実には円安になっても輸出の数量はあまり伸びていません。日本は中国や韓国と比べて付加価値の高い製品を作っていますから、円安になったからといって値引きをして数量を伸ばすという状況にはなりにくいわけです。

 しかし、同じ高付加価値製品を作っているドイツや米国の状況は異なっています。中国向けの輸出を例に取ると、日本はドイツや米国に比べて高いシェアを持つ品目を持っていますが、輸入量が増加している品目のシェアはドイツや米国と比べると高くありません。つまり、日本は伸びない分野で高いシェアをキープしていることになります。これではいくら円安でも数量が伸びるわけがありません。

 ドイツの中国向け輸出は、数量も増加していますが、それに合わせて単価も上昇しています。数量と値段の両方が上昇するわけですから、ドイツ企業は大きな利益を得ることができます。一方、日本は、単価が上昇した品目もあるのですが、数量が増加した品目での単価上昇はそれほど顕著ではありません。ドイツと比べると儲かる部分で勝負できていないわけです。

 こうした競争力の違いは企業収益の違いとして顕在化してきます。白書では、多角的経営を行う各国企業の業績について分析しています。日本企業は全体の9割が営業利益率10%以下の儲からない事業で占められており、これは突出して高い割合です。また、全体的な営業利益率も米国企業の4割、欧州企業の5割にとどまっており、日本企業の収益力の弱さが目立ちます。

 このような状況から脱却するためには、女性や外国人など多様性のある人材を投入し、事業分野の見直しなどを迅速に行うことが重要であると白書は指摘しています。円安で名目上の収益が拡大している今こそ、日本企業は本当の意味での体質改善を実施する必要があるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/9/9(水) 4:35
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