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ソニー増資発表で株価急落、投資家の理解は得られるか?

2015/7/10(金) 6:00配信

THE PAGE

 ソニーが公募増資などによる最大4400億円の資金調達を発表したことで、市場に驚きの声が上がっています。増資が報道された6月30日の株式市場では、同社株はたちまち10%近くも下落してしまいました。投資家は増資の何を嫌っているのでしょうか。

 資金調達の内訳は、公募増資が3200億円、新株予約権付社債(転換社債型)が1200億円の合計4400億円です(最大金額)。調達した資金は、デバイス分野などにおける生産力増強に振り向けられます。同社が本格的な増資を行うのは実に二十数年ぶりのことになります。

 株価が大幅に下落したのは、増資による希薄化を投資家が懸念したからです。現在、ソニーの自己資本は3兆円ほどありますが、増資によって自己資本は最大で10%以上増える可能性があります。株式数が増えた分だけ、既存株主の議決権の割合や、受け取る配当の金額が減ってしまいます。今回の下落は希薄化の分がそのまま反映されたと考えてよいでしょう。

 もちろん増資で希薄化するといっても、増資によって業績が拡大し、配当も増加するのであれば、何ら問題はありません。かつてソニーが急成長していた時代には、増資は非常に前向きなニュースとして理解されていました。しかし、今回はあまりにもタイミングが悪かったようです。

 同社の2015年3月期の決算は1260億円の赤字、2014年3月期の決算も、やはり1280億円の赤字でした。2期連続で大赤字を垂れ流した上に、今期の業績回復の見通しがはっきりしていないため、投資家の疑心暗鬼は増大しています。来期の決算について同社は、営業利益3200億円を見込んでいますが、同社は過去、何度も業績を下方修正しており、財務面での信用はあまり高くありません。

 もし株主総会でしっかりとした説明があれば、株主も納得したかもしれませんが、この増資が発表されたのは、株主総会の開催直後であり、あえて株主総会を避けて発表したのではないかという声も上がっているようです。少なくとも第1四半期の決算を発表し、業績回復が鮮明になってきたことを投資家に説明した上で増資に踏み切った方がよかったと考えられます。ソニーは海外からも広く投資を募っている企業ですから、海外メディアの一部も、今回の増資の目的やプロセスの曖昧さについて批判する記事を掲載しています。

 近く発表される第1四半期の数字が非常に好調であれば、一連の増資も許容されることになるでしょうが、業績が悪いようでしたら、株主からの反発はより大きくなるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/9/10(木) 4:54
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