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そもそも「安保関連法案」とは? 集団的自衛権をどう規定

2015/7/11(土) 17:30配信

THE PAGE

 安倍晋三首相が今国会での成立を目指す安全保障関連法案が、今月15日にも衆議院特別委員会で採決される情勢です。6月の憲法審査会で3人の憲法学者が「違憲」と表明して以来、法案が「合憲」か「違憲」かに特に注目が集まってきましたが、そもそもこの安全保障関連法案がどんな内容か、必ずしも理解が深まっているとはいえないかもしれません。今回の法整備によって、日本の防衛、具体的には自衛隊の活動がどう変わるのか。安全保障問題に詳しい美根慶樹氏が解説します。

そもそも「安保関連法案」とは?(下) PKOや他国軍の後方支援をどう規定

「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」

 日本は戦後、新憲法の下で平和主義に徹しつつ、必要最小限の自衛は可能という見解を取ってきました。その下で、具体的に、自衛隊がどのような脅威に対して、どの場所で、どの手段によって自衛の行動を取れるか、関連の諸法律によって厳格に定めています。

 一方、日本の安全保障に影響を及ぼす国際情勢はつねに変化しています。安倍首相は、我が国を取り巻く安全保障環境の変化に対応し、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するため、安全保障関係の法制を整備しなければならないとさまざまな機会に強調しています。

 この考えを具現したのが、昨年の閣議決定に基づき、政府が2015年5月15日に国会へ提出した安全保障関連法の改正案であり、現在審議が行われています。

 法案は形式的には2本だけですが、その中の「平和安全法制整備法案」は既存の法律10本を改正するものであり、また、他の「国際平和支援法案」は新規の法律となっていますが、実質的には「テロ特措法(2001年)」「イラク特措法(2003年)」といった、かつて存在し現在は終了している法律を改正するものです。したがって国会で審議されている11本の法律案は、すべてこれまでの法律を改正するものとみなしてよいでしょう。

「周辺事態」を「重要影響事態」に衣替え

 改正法案の具体的な内容は、「自衛の範囲・程度」に関わることと、「国際貢献」に関することの2つに大別できます。本稿では前者を説明します。

 第1に、自衛隊が対応を求められる“脅威”とは何かです。現在の国際情勢に照らせば、その範囲を拡大する必要がありますが、広げ過ぎると「自衛」を超えるという困難な問題です。

 まず、脅威の発生する場所です。現在の周辺事態法では 「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」として、脅威の発生する場所は日本周辺に限定されていますが、改正法案(重要影響事態法)は、この条文から「我が国周辺の地域における」を削除しています。地理的限定を撤廃しているのです。つまり、世界中のどこでも自衛隊が行動しなければならなくなる脅威がありうるという認識にしたのです。このように場所を問わず日本に及んでくる脅威は「重要影響事態」と呼ばれています。

 脅威の種類は他にいくつかあります。現在、自衛隊が行動できるのは「武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態(武力攻撃事態)」と「武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態(武力攻撃予測事態)」であるとされています。これらを「武力攻撃を受けた場合など」と言うことにします。

 改正法案(武力攻撃事態法)は、上記の2つの事態に加え、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態(存立危機事態)」を追加しました。

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最終更新:2016/2/16(火) 2:49
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