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危機は回避したものの……そもそもギリシャ経済の基礎体力ってどのくらい?

2015/7/15(水) 6:00配信

THE PAGE

 国民投票を行いEUが求める緊縮策にノーを突きつけたギリシャですが、チプラス首相は態度を一転させ、EUが求める緊縮策を受け入れる方針を明らかにしました。ユーロ圏首脳会議は激論の末、3年で820億ユーロ(約11兆円)の金融支援を実施することを決定しました。しかし、ギリシャに対するEU側の不信感は根強く、ギリシャがユーロ圏に入っていること自体に無理があると指摘する人もいます。ギリシャというのは、そもそも、どの程度の経済力を持った国なのでしょうか。

 ギリシャのGDPは約2400億ドルと日本の20分の1、ドイツの16分の1の規模しかありません。国の豊かさはGDPの絶対値ではなく、1人あたりのGDPで表されます。ギリシャの1人あたりのGDPは約2万2000ドルとなっていますが、これはフランス(約4万5000ドル)、ドイツ(約4万8000ドル)と比べると半分以下の水準です。日本(約3万6000ドル)と比べてもかなり低いことが分かります。相対的にギリシャが貧しい状態にあるのは、経済危機に陥ったことが原因といわれていますが、この傾向は、ギリシャがユーロ圏に入る前からあまり変わっていません。

 1980年におけるギリシャの1人当たりGDPはフランスやドイツの半分程度でしたし、1990年前後、2000年前後も同様の水準でした。つまりギリシャは基本的に欧州の主要先進国に比べて貧しい状況にある国といえます。ギリシャは1970年代まで軍事政権だった国ですから、相対的に貧しいのはやむを得ないことかもしれません。

 しかし、こうした状況が少しだけ変化した時期があります。それはリーマンショック前のバブル期です。2007年にはギリシャの1人当たりGDPはドイツの7割まで上昇。先進国に近づくかに見えました。しかし、これはユーロという単一通貨の導入でギリシャの経済力がかさ上げされた結果であり、基礎体力を超える成長でした。

 2009年以後、ギリシャの経済規模はピーク時の7割まで縮小しており、これは1929年の世界恐慌時における主要国の落ち込みを超えるといわれています。現代社会ではあり得ないレベルの経済規模の縮小を経験しているわけですが、長い目でみれば、ギリシャは本来の水準に戻っているだけです。

 何かと批判の対象となっているギリシャの年金ですが、欧州の中ではそれほど突出して高い給付水準ではありません。しかしドイツやフランスは圧倒的な経済力を背景に、高福祉を実現している国ですから、これらの国とギリシャが同一水準なのはやはり無理があるでしょう。所得代替率(現役世代の所得の何%が年金給付されるかという指標)などで比較した場合、ギリシャの年金は日本よりもかなり手厚くなっています。やはりギリシャは体力を超えた経済運営をしてきたと判断してよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/9/25(金) 4:53
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