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バブル期と類似?それとも正反対?新入社員の意識調査

2015/7/18(土) 7:00配信

THE PAGE

 人並みに働けば十分と考える新入社員が過去最高水準になったことが明らかとなりました。最近の若者は、ゆとり世代でやる気がないなど、ステレオタイプな批判も目立ちますが、過去の調査結果でこの数字がもっとも高かったのはバブル期ですから、最近の若者にやる気がないと単純に決めつけるのはやめた方がよさそうです。

 この調査は、日本生産性本部「職業のあり方研究会」と日本経済青年協議会が毎年実施しているものです。1969年から基本的に同じ内容の調査を行っているので、長期的な変化を知ることができるという特徴があります。

 2015年に入社した新社会人の中で、「人並みに働けば十分」と回答した人は53.5%と過去最高となりました。この結果を見ると、最近の若者はやる気がないという話になりがちですが、過去の調査結果を見るとそうとも言えません。これまでの過去最高値はバブル経済がピークを迎えていた1990年なのですが、当時の新入社員は、今、まさにバブル世代の中間管理職として新入社員に厳しく接している人たちです。人並みで十分という発想は、特に最近の若い人に特有なものではありません。

 では、人並みで十分か、人並み以上かという考え方は何によって変化するのでしょうか。それは景気動向である可能性が高いと考えられます。バブル末期はまさに景気が絶頂の時でしたし、次に高い値を示しているのは、リーマンショック前の米国好景気と円安で輸出が伸び、一時的に製造業が潤った2008年のことです。その後、リーマンショックでこの数字は低下し、アベノミクスがスタートしてからは再び数値が急上昇しています。

 この調査では、「人並みに働けば十分」という項目に加えて「人並み以上に働きたいか」という質問項目も用意されています。当たり前といえば当たり前ですが、両者は正反対の動きを見せており、人並み以上に働けば十分と考える人が増えると、逆に人並み以上に働きたいという人は減る傾向が見られます。ただ、両者の差は、年代によって異なっているというのは注目すべき点といってよいでしょう。

 バブル期には、両者の差は20ポイント以上もありましたが、2015年の調査では15ポイント程度に縮まっています。この違いは「どちらともいえない」という回答割合が減っていることが大きな要因なのですが、他の質問項目の結果を見ると、もう少し違った解釈もできます。「仕事中心か、私生活中心か」という質問において「私生活」と回答した人はバブル期に比べて激減しています。バブル期は将来の心配などすることなく、私生活をエンジョイするのがベストだったわけですが、今はそのような余裕はなく、仕事中心にせざるを得ない状況です。同じ「人並み」でも、ポジティブな意味ではなく「せめて人並みの生活ができれば」という切実さが感じられます。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/11/19(木) 4:44
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