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株主優待を導入する企業が増加中、本当に得なのか?

2015/7/26(日) 9:00配信

THE PAGE

 株主に自社商品などを提供する株主優待制度が注目を集めています。すでに上場企業の3分の1以上が何らかの形で株主優待制度を実施していますが、その数はさらに増えそうな状況です。優待の中には、非常にお得なものがあり、それを目当てに株を買う投資家がいる一方、株式会社の原理原則から考えて過度な優待は好ましくないという意見もあるようです。

 企業が株主優待を積極的に導入する理由は、長期的な視点で株式を保有してくれる投資家を開拓するためです。例えば小売店や外食などが自社商品の割引券などを配れば、多くの株主がお店に来店することになり、自社の商品やサービスに対する理解が深まります。それをきっかけに自社のファンになってくれれば、株式を長期間にわたって保有してくれますから、企業にとっては、顧客兼安定株主ということで一石二鳥の効果となるわけです。

 手厚い優待制度を提供している企業の中には、制度をフル活用すると、金額換算で10%以上の利回りになるところもあります。そのような企業には、優待を目的に投資を行う個人投資家が数多く集まっています。

 しかしながら、見方を変えれば株主優待というものは、本来収益を生み出すはずの自社の商品やサービスをタダで株主に配ってしまうという行為に他なりません。株主は会社の所有者であり、いわば身内ですから、考えようによってはタコが自分の足を食べるような状態といってもよいでしょう。また、優待目当ての株主の場合、株主の本来の役割である経営の監視という意識が薄れてしまいがちです。そのような株主ばかりが増えてしまうと、経営陣に緊張感がなくなり、長期的に見た場合、成長力を弱めてしまう可能性があります。

 さらにいえば、全部の株主が優待を望むわけではありませんから、過度な優待の導入は特定株主だけに対する優遇措置と同じ効果を持ってしまいます。こうした状況は、新しく投資を検討する投資家にとってはマイナス要素であり、株主の間口を狭めてしまうことにもなりかねません。米国など諸外国にも優待制度はありますが、日本のように数多くの企業が積極的に導入するという状況にはなっていないのが現実です。

 株式会社の原理原則で考えれば、経営陣は株主に対して配当と株価の上昇で報いるのがスジということになります。優待制度が手厚い企業に投資を検討する際には、優待制度の損得だけでなく、会社の成長力や収益性といった本来の評価基準を軸に可否を判断することが重要でしょう。
 
(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/20(日) 4:06
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