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東芝、なぜ社外取締役が機能しなかったのか

2015/7/25(土) 8:00配信

THE PAGE

 東芝の利益水増し問題の内容が明らかになるにつれて、本来経営を監督すべき社外取締役が十分にその機能を果たしていなかった実態が浮き彫りになってきました。またコーポレートガバナンスの要である、各種委員会もほとんど機能していませんでした。なぜこのような事態になってしまったのでしょうか。

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株式会社に対する根本的な認識の違い

 東芝は2003年から委員会設置会社に移行しており、見かけ上はしっかりとしたコーポレートガバナンスの体制が整えられています。しかし、21日に公表された第三者委員による調査報告書では、損失が発生することが判明していた重要案件について、取締役会に報告された事実はなかったと指摘しています。また新聞報道によると、2012年の取締役会では社外役員の一人から業績見通しについて不自然であるとの指摘が出ていましたが、執行側から十分な説明はなく、取締役会がこの問題を正式に取り上げることはありませんでした。

 職務執行の監査を行う監査委員会では、1人の委員が執行側に対して会計処理について懸念を伝えたものの、取締役会と同様、委員会としては正式に取り上げませんでした。ガバナンスの形式は整っていましたが、中身がまったく伴っていなかったわけです。

 東芝は最悪の形で問題が表面化してしまいましたが、日本企業の中には、ガバナンスの体制を整備しているものの、実質的には機能していないところが多いといわれています。その理由のひとつが、株式会社に対する根本的な認識の違いです。

社外役員や監査委員は株主のためにある

 現在、日本で導入が進められているガバナンスの体制は、基本的に欧米社会における株式会社の原理原則がベースになっています。株式会社は、会社の所有者、経営者、執行者の3者を厳密に区分し、会社の所有権を自由に売買するための制度です。コーポレートガバナンスは、会社の所有者である株主の権利を守るためのしくみであり、社外役員や監査委員はすべて株主の利益を守るために行動しなければなりません。

 日本は、形式的には欧米における株式会社の制度を真似ていますが、株主が会社の絶対的な所有者であるという認識が薄い社会です。このため社外役員や監査委員は株主ではなく、自分を雇ってくれる社長の方を見て仕事をしてしまいます。チェックする対象が自分の上司という感覚では、いくら肩書に「社外」や「監査」という名称が付いていても、経営の監視ができないのは当然のことかもしれません。

 今回の出来事を受けて、東芝はガバナンス体制を強化するとしています。しかし、いくら制度を整えても、根本的な認識が変わらない限りは、同じような問題が再び発生する可能性は高いと考えた方がよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/11/26(木) 4:10
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