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民事調停申し立てた「JASRAC」 批判の声が上がるのはなぜ

2015/7/24(金) 14:00配信

THE PAGE

徴収金の配分に不透明感?

 これまで説明したように、使用料は基本的には包括契約に基づいて徴収されていました。そしての使用料は、一部のサンプルによって全体を推定するサンプリング調査で、権利者に比例配分されているのです。膨大な曲目を使用者側がすべて報告するのは非現実的で、負担が大きいことを考慮して取られた措置です。例えば、全曲報告が難しい一部の放送局で楽曲が使われた場合です。約3か月に1回、1~2週間のサンプリング調査期間を設け、その期間に放送された全楽曲について報告します。そのサンプリング報告から全期間に使用された楽曲を推定し、分配対象作品を抽出しているのです。

 しかし、これには問題がありました。使用された全ての楽曲に対し、権利者にきちんと使用料が届くシステムではなかったのです。実際には使用されていたのにもかかわらず、サンプルとして漏れたために権利者に支払われないこともあったようです。世間的には、このサンプリング調査に不透明性を感じているのかもしれません。

 実際、爆風スランプのドラマーで、ライブハウスを経営しているファンキー末吉さんは、2010年6月20日付のブログで不透明性を綴っています。「自分が自分の曲をライブハウスで演奏した著作権料をもらってないのに、JASRACは『著作権料を支払え』と言うのだから『そりゃ何じゃ!!』と怒り心頭なわけじゃが、」と、使用料の分配に対する不信感をあらわにしました。

弱いものいじめにも見える?

 今年1月には、無許可演奏をして著作権を侵害したとされる静岡市のライブハウスに対し、静岡地裁が楽器や音響機器などの利用を差し止める仮処分を執行しています。JASRACの申し立てを受けた仮処分決定に基づく手続きで、地裁執行官が楽器や楽譜、スピーカーなどに網を掛けて使えないようにしました。利用料を支払わないまま生演奏やカラオケを行い、再三の説明や催告に応じなかったのが理由です。執行官による正当な行為ですが、ネットにはJASRACに対する否定的な意見もありました。

 続く4月28日には、テレビなどで使われる楽曲の著作権管理をめぐり、JASRACの契約方法が独占禁止法違反(私的独占)にあたるかどうかが争われた訴訟の判決がありました。最高裁は、「他事業者の参入を排除している」として、独禁法違反ではないとした公正取引委員会の審決を取り消す判決を言い渡しています。他業者の参入を排除できるような大きな規模の法人が、使用料徴収では個人経営の小さな店舗も対象にしていることで、世間からは弱いものいじめのように見えているのかもしれません。

 購入したCDをBGMとして流しているある美容室の男性オーナーは、「使用料は大した金額じゃない。でもこんな個人経営のお店にまで、自分で買ったものを利用するだけで徴収されるのは納得がいかない。もっと、違法ダウンロードの問題とか先に解決する問題があるんじゃないか」と不満を述べ、飲食店の男性店長は「いろいろ面倒そうなので、BGMはCDから有線放送に変えようと思っている」と話しています。

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最終更新:2018/10/4(木) 17:39
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