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日本の役員報酬が高額化、妥当性はあるのか?

2015/8/1(土) 7:00配信

THE PAGE

 日本の経営者の高額報酬化が進んでいます。1億円以上をもらう日本の上場企業の役員数は400人を超える一方、従業員の給与は下落が続いています。日本の社長はもらいすぎなのでしょうか。

 東京商工リサーチの調べによると、2015年3月期決算において役員報酬が1億円を突破した企業は211社、人数は411人にのぼりました。2012年は295人、2013年は301人、2014年は361人ですから、高額報酬を得る役員の数は急増しているといってよいでしょう。

 一方、従業員の待遇は向上していません。資本金10億円以上の企業における従業員の平均年収は2006年には600万円ありましたが、2014年は560万円まで下がっています。これは10億円以上の企業の平均ですから、1億円以上の報酬をもらった役員の数と、同じ条件で比較できる統計ではありませんが、全体的に見て、従業員の待遇が悪化し、役員の待遇が向上しているのはほぼ間違いありません。

 従業員と役員の待遇差はよく批判の対象となりますが、本来、経営者は株主から企業の経営を任され、その結果に対して報酬を受け取る存在です。十分な業績を上げていれば、高額報酬は許容されるというのもひとつの考え方といってよいでしょう。これまで欧米企業と比較して日本の経営者の報酬は安すぎるという声があり、役員報酬の高額化はこうした声を背景に進められてきました。しかし、日本企業が欧米企業並みに稼いでいるのかというと、そうではないというのが現実です。

 上場500社における日本企業のROE(株主資本利益率)は米国企業の4分の1、欧州企業の3分の1しかありません。日本企業の収益力は国際的に見た場合、お話にならない水準というのが現実なのです。日本の上位10社の売上高合計は約130兆円あるのですが、米国の上位10社の売上高合計は270兆円に達します。会計問題が指摘されている東芝は、日本を代表する超大手企業のひとつですが、同社の売上高はアップルの3分の1、利益は数十分の1にしかなりません。

 従業員の待遇も同様です。かつて日本企業と欧米企業の社員の待遇はそれほど変わりませんでしたが、最近はその差は開くばかりです。米国では、すでに大企業の新入社員の初任給は40万円近くに達しているといわれており、20万円前後が標準的な日本と比べると、かなりの好待遇です。

 日本企業は、いわゆるグローバルスタンダードといわれる欧米企業と比較すると、まったく稼げていませんし、従業員の待遇も低い水準にとどまっています。役員報酬だけがグローバルスタンダード並みというのは、説得力に欠けるといわれても仕方がないでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/12(金) 4:27
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