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東芝、巨額減損のリスクが急浮上、これってどういうこと?

2015/7/29(水) 10:04配信

THE PAGE

 東芝の不正会計問題は、今のところ、第三者委員会による報告書で示された過去の利益のかさ上げに焦点があたっています。しかし不正会計問題が及ぼす影響はこれだけにはとどまりません。実は同社は、巨額の減損リスクに直面しており、最悪の場合には、同社の屋台骨を揺るがす状況にもなりかねません。同社が抱える減損リスクとはどのようなものなのでしょうか。

 市場関係者が気にしているのは、約8000億円(当時のレート)で買収した原子力企業ウエスチングハウス社(WH社)関連の「のれん代」です。同社は2006年、54億ドル(当時のレートで6500億円)で、WH社を買収しました。その後、追加の株式取得などもあり、総額で8000億円近い金額を投じています。

 しかしWH社の買収はかなりの高値であり、純資産と買収価格の差は4000億円ほどになるといわれています。同社のバランスシートには、この差額分が「のれん代」として計上されています。のれん代をどのように償却するのかは会計基準によって異なっています。日本の会計基準では一定金額を毎年、利益から差し引いていきますが、米国会計基準では原則として償却を行いません。その代わり、買収した事業が当初の見込みを大幅に下回った場合には、価値がなくなったとして一括して償却する必要があります。

 東芝のバランスシートには、約5800億円ののれん代が計上されています。WH社に関連する部分がいくらなのかははっきりしていませんが、大きな割合を占めることは間違いありません。

 同社はWH社を買収して以後、のれん代を償却していません。これは、WH社の原子力部門は当初の予定通り、収益を上げているということを意味しています。しかし、第三者委員会の報告書によると、原子力部門を含む、全部門において、不正な利益の水増しがあったと認定されています。つまり、これまで決算書で開示されてきた収益は正しいものではなかったわけです。ということになると、WH社の原子力部門は当初の計画通りには進んでいないという解釈になり、場合によっては、その分を減損として処理する必要に迫られます。

 このほか、将来に支払う税金の減少を見越して計上された繰り延べ税金資産が2600億円ほどあります。場合によっては、この資産の取り崩しも余儀なくされるかもしれません。東芝の純資産はわずか1兆6000億円しかありませんから、総額8000億円を超える資産が大幅減損となった場合には、財務体質は急激に悪化します。同社は原子力事業の資産の健全性について、できるだけ早く詳細な情報を開示すべきでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/12(金) 4:11
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