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<インド・炭鉱>出稼ぎの少年 ── 高橋邦典フォト・ジャーナル

2015/8/16(日) 20:00配信

THE PAGE

 「ネズミの穴」で、一人の少年と出会った。キランという名の彼は、ネパール農村部からの出稼ぎ労働者。19歳だというが、155センチほどの身長とまだあどけない顔はそれより随分と幼く見えた。

フォト・ジャーナル <インド・炭鉱>- 高橋邦典 第26回

 午前3時には起床し、炭坑に潜る。長い時には12時間働くこともある。採掘する量によるが、稼ぐのは月に1万から3万円ほど。それでも故郷で畑仕事をするよりずっと稼げる。仕事を終えると、住処である労働者キャンプで仲間と過ごす。携帯電話で歌番組やドラマをみたり、トランプをしたり、くつろぎのひと時だ。

 採炭の仕事はきつい上に大きな危険が伴う。坑道が崩れれば一巻の終わりで、毎年何人かが犠牲になる。坑夫たちに命綱などの安全装備が支給されるわけでもない。雇い主にとっては、いくらでも代わりのいるキランのような労働者たちは、使い捨ても同然なのだ。

 「仲間はいるけど、本当はここにはいたくないし、家族と暮らしたい」

 キランは言った。

 「金はいつか僕を殺すだろうな…。」

(2014年4月)

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高橋邦典 フォトジャーナリスト
宮城県仙台市生まれ。1990年に渡米。米新聞社でフォトグラファーとして勤務後、2009年よりフリーランスとしてインドに拠点を移す。アフガニスタン、イラク、リベリア、リビアなどの紛争地を取材。著書に「ぼくの見た戦争_2003年イラク」、「『あの日』のこと」(いずれもポプラ社)、「フレームズ・オブ・ライフ」(長崎出版)などがある。ワールド・プレス・フォト、POYiをはじめとして、受賞多数。

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最終更新:2015/10/17(土) 2:56
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