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物価は上がっているの? 下がっているの? 原油安と円安で拮抗状態

2015/8/9(日) 7:00配信

THE PAGE

 このところ物価の伸びが鈍化しており、日銀は自らが掲げた2%の物価目標を事実上後退させる状況となっています。一方、消費の現場では、値上げが相次いでおり、物価は上がっているように思えます。物価は上がっているのでしょうか、それとも横ばいなのでしょうか。

 総務省は7月末、2015年6月の消費者物価指数を発表しました。代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」は前年同月比でプラス0.1%と低い伸びにとどまりました。5月は同じく0.1%、4月は0.3%でしたから、伸びが鈍化していることは明らかです。

 安倍政権はデフレ脱却というキャッチフレーズを掲げており、これを実現するため日銀は量的緩和策を行ってきました。しかし、現状の物価推移を見る限り、物価目標の実現は困難といってよいでしょう。市場では、日銀が追加緩和に踏み切るのかどうかに注目が集まっています。

 一方、生活実感としては、物価が伸び悩んでいるという印象はありません。このところ商品の値上げが相次いでいるからです。チョコレートやパンなど身近な食品がこの7月に軒並み値上げとなりましたが、これらの多くは円安による原材料価格の上昇が原因です。外食でも、値上げに踏み切るところが増えているようですが、こちらは、円安の影響というよりも、若年層の人手不足が原因と考えられます。

 こうした動きは、物価に関する別の統計を見るとよりはっきりしてきます。東京大学が中心となって作成した東大物価指数は4月以降、顕著な上昇を示しています。この指数は、全国の300店舗におけるPOS(販売時点情報管理)システムのデータを用いていますから、ほぼリアルタイムで物価の動向を把握することができます。輸入価格の上昇に耐えきれなくなり、商品価格を上げる事業者が一気に増えたことが物価上昇の原因でしょう。

 総務省の正式な統計は多少のタイムラグがありますし、エネルギー価格の影響を大きく受けるという特徴があります。原油価格はこのところ大きく下落していますから、これは物価の下押し材料になります。同じく総務省の統計でも、食料とエネルギーを除いた指数(コアコア指数)はすでにプラス0.6%となっており、値上げが進んでいることをうかがわせます。

 現状は原油価格の値下がりによるデフレ圧力と、円安によるインフレ圧力が拮抗しており、しばらくは、こうした状況が続くと考えられます。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/9/9(水) 2:39
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