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ソフトバンク米国苦戦、どのような状況になっているの?

2015/8/14(金) 6:00配信

THE PAGE

 ソフトバンクが今後の事業戦略の中核に据えていた米国事業の調子がよくありません。市場では米国からの撤退観測も出ていますが、孫社長はこれを強く否定しています。同社の米国事業はどのような状況になっているのでしょうか。

 同社は2013年7月、約2兆円の金額を投じて、米国第3位の携帯電話会社スプリントを買収しました。米国の携帯電話市場は大手4社がシェア争いを行っており、1位はAT&T、2位がベライゾン、3位がスプリント、4位がTモバイルUSとなっています。上位2社のシェアを合計すると6割を超えますが、スプリントとTモバイルUSが合併すれば、上位2社と戦える可能性が見えてきます。ソフトバンクはスプリントを買収したのち、TモバイルUSの買収も実施し、2社を合併させる戦略を立てていました。

 しかし、米司法当局は独占に対する警戒感が強く、TモバイルUSの買収に対して否定的でした。孫社長は何度も渡米し、司法当局の説得を試みましたが、これを覆すことはできず、TモバイルUSの買収を断念せざるを得ませんでした。

 スプリント単体ではシェアの拡大に限界がありますし、リストラは当初の予定よりも遅れています。古い設備から新しい設備への更新は着実に進んでおり、解約数は減少、契約者数も純増に転じています。しかし、TモバイルUS買収に向けて準備をしている間に、当のTモバイルUSにシェアを逆転されるという状態になってしまいました。

 もっともソフトバンク全体の業績は非常に好調です。8月6日に発表した2015年4~6月期決算は、売上高が前年同期比9.8%増の2兆1390億円、営業利益は7.6%増の3435億円でした。ブロードバンド通信サービスなど国内通信事業が好調だったことに加え、円安によりスプリントの業績がかさ上げされており、リストラの遅れをカバーしています。ただ、スプリントの業績が本格的に回復していれば、四半期決算はさらに利益が増加していたはずですから、株価の反応はあまりよくありません。

 市場では、ソフトバンクがスプリントを売却するのではないかという噂が絶えませんでしたが、孫社長はこれを強く否定しています。決算発表では自社に都合の悪いことは質問が出るまで話さない経営者がほとんどですが、孫社長はプレゼンテーションの冒頭からスプリントの事業展開について積極的に説明し、業績回復に自信を示しました。一時は売却も真剣に考えたと発言しているところからすると、売却するつもりはないという現在の心境は本当であると考えられます。本体の業績が良好なうちに、いかに早くスプリントを成長軌道に乗せられるかがカギとなりそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/21(日) 4:38
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