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経済財政白書が示す日本経済が抱える根本的課題とは

2015/8/20(木) 7:00配信

THE PAGE

 政府は14日、2015年度の経済財政報告(経済財政白書)をまとめました。経済財政白書(2000年以前は経済白書)には、日本経済の現状や課題を明らかにするという重要な役割があり、白書の発表は経済政策におけるもっとも重要なイベントの一つでした。最近では、いくぶんその役割が薄れていますが、それでも、白書を見れば、日本経済にはどのような課題があるのか、明確に理解することができます。

 今年の白書は大きく分けて3つの章で構成されています。1章は日本経済の現状に関する内容で、今後の課題については主に2章と3章で取り扱っています。

 日本経済は現在、回復基調にありますが、以前と比べて、日本企業の国際的なパワーが低下していると感じている人は多いはずです。白書の分析はそのひとつの「解」となるかもしれません。

 日本企業の競争力が弱体化している原因の一つに、日本の労働生産性が米国など他の先進国に比べて低いことがあげられます。白書は、個別産業の生産性を向上させることは、日本経済全体の生産性向上につながると分析しており、そのためには同一産業の中で、生産性の高い企業に人材をシフトする必要があります。高収益企業が事業を拡大し、より多くの雇用を生み出していけば、その産業全体の生産性は向上していくという仕組みです。

 しかし日本企業の雇用者数の伸びを見てみると、高収益企業における雇用者数の伸びと、低収益企業の雇用者数の伸びの差は、年々縮小しています。つまり、生産性の高い会社に人が集まらず、生産性の低い会社に人がとどまっているわけです。これでは、その産業全体の競争力が低下し、ひいては日本経済全体の生産性が低下してしまいます。白書では、労働移動を円滑化させるとともに、規制緩和などによって成長分野を創出していくことが求められると指摘しています。

 イノベーションについても改革が必要です。日本はイノベーションに対して否定的ではなく、研究開発費の対GDP比では米国を上回っています。しかし、研究開発の効率が悪く、イノベーションが経済全体の生産性向上にあまり寄与していません。日本企業の研究開発は、基本的に社内で完結していることが多いといわれており、外部との連携は活発ではありません。特許出願に占める国際共同出願の割合を見ると日本は非常に低い水準にとどまっています。

 研究開発に投じた資金を効果的に経済成長に結びつけるには、研究開発をオープン化し、幅広い知見を活用する努力が必要となります。

 公共事業や量的緩和といったマクロ政策も重要ですが、最終的にその国の成長力を決めるのは、こうした地味な活動の集大成です。本当の意味で、日本は「底力」を発揮すべき時なのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/13(水) 4:25
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