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アローラ氏による私財600億円の株購入、ガバナンス論に一石

2015/8/26(水) 6:00配信

THE PAGE

 ソフトバンクグループの後継社長に内定しているニケシュ・アローラ氏による600億円の自社株購入が大きな話題となっています。日本では経営者の報酬のあり方や、コーポレートガバナンスに関する議論が活発になっていますが、アローラ氏の思いきった行動は、この議論にも影響を与えそうです。

 ソフトバンクグループは8月19日、ニケシュ・アローラ副社長が、同社の株式600億円分を取得すると発表しました。私財を投じ、孫社長に次ぐ持ち株を保有することで、同社の経営に全力でコミットする覚悟を示したわけです。当然ですが、市場はこれを高く評価しており、発表翌日の株価は前日よりも3%高く寄り付きました。

 アローラ氏は今年6月、次期社長の最有力候補という形で副社長に就任しました。現在は自社株を保有していないため、今後半年かけて市場から購入することになります。同社は昨年度、アローラ氏に総額165億5600万円の高額報酬を支払っていますが、その報酬の3.5倍の金額を自社株に投資することになったわけです。ソフトバンクの時価総額は約9兆円ありますから、600億円分を購入すると持ち株比率は約0.7%となり、個人株主としては、現在、筆頭株主である孫氏に次ぐ立場になります。

 株式会社の経営者は、会社の出資者である株主と利益相反を起こしやすい関係にあります。自身は高額報酬を受け取る一方、会社の経営がうまくいかなかった時の損失は株主に押し付けることが可能です。こうした事態を防ぐために、コーポレートガバナンスという仕組みが存在しています。

 しかし東芝の不正会計などの事例を見れば明らかですが、いくら社外取締役などの制度を導入しても、経営者自身にその意識がなければうまく機能しません。その意味では、会社の経営に失敗すると、自らの資産を失ってしまうオーナー経営者は、会社の利益と経営者自身の利益が基本的に一致します。中には会社を私物化してしまうオーナー経営者もいますが、トヨタ自動車やユニクロを展開するファーストリテイリングなど高収益企業にはオーナー経営が多いという特徴があります。また、パナソニックやホンダ、ソニーなども、もともとはオーナー企業でした。

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最終更新:2015/10/27(火) 4:00
THE PAGE