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民間シンクタンクが今度は「ふるさと住民票」を提言、これって何?

2015/8/28(金) 7:00配信

THE PAGE

 民間シンクタンクの構想日本が、地方自治体が住民以外に公共サービスを提供する「ふるさと住民票」を提言しています。最近増えているといわれる複数居住(マルチハビテーション)に対応した動きなのですが、どのような効果があるのでしょうか。

 構想日本が提言しているのは、ふるさと納税を行った人に対して、行政サービスの一部を提供できるようにしたり、街作りに参加できるようにするという制度です。具体的には、パブリックコメントへの参加、住民投票への参加(参考投票)、公共施設の住民料金の適用などが想定されています。

 ふるさと納税は、任意の自治体に寄付をすると、その寄付金額の一部が所得税や現在住んでいる地域の住民税から控除されるという制度です。厳密には税金ではなく寄付行為ですが、住んでいる地域の課税が減免され、他の地域の歳入が増えるわけですから、実質的には税金と考えて差し支えありません。

 地域の行政サービスについては、サービスを受ける人が税金を負担するという受益者負担の原則があります。ふるさと納税制度は、納税者と受益者が異なりますから、税制として適切ではないとの意見があります。その点では、ふるさと住民票があれば、税金を支払った人はより受益者に近くなりますから、受益者負担の性格が強くなります(ただし、実際に住んでいる地域の税金が安くなり、不公平が生じるという問題は解決できません)。寄付を行った人も、その地域の人間としての意識が高まってくるでしょう。

 最近では、ふるさと納税のお礼に地域の特産品を贈る自治体も多いのですが、この動きが過熱しており、単なるバラマキになっているとの批判もあります。金品ではなく、行政サービスという形でお返しするという形が定着すれば、こうした本末転倒な動きも解消されるかもしれません。

 政府が昨年末に発表した地方創生の総合戦略では、「二地域居住」の推進が盛り込まれており、構想日本の提言でも、制度の利用者としてこうした二地域居住者を想定しています。もっとも、現実の二地域居住者が、どの程度、こうした制度に興味を示すのかは定かではありません。

 今後、地方に永住することなどを念頭にお試し移住を実践している人もいますが、介護などの理由で二地域居住を余儀なくされている人も多いでしょう。こうした現実的な理由で複数拠点を持っている人は、介護などが終了すると現在住んでいる地域に拠点を戻す可能性が高いと考えられます。

 今回、提言されているのはあくまで概念であって、詳細な制度は各自治体が独自に設計するとしています。自治体の中には、画期的な制度を打ち出してくるところもあるかもしれませんから、広くアイデアを募り、その情報を共有することが重要でしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/19(金) 4:33
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