ここから本文です

気温のせい? それとも値上げが影響? ユニクロに成長鈍化の兆し

2015/9/4(金) 6:00配信

THE PAGE

 ユニクロに成長鈍化の兆しが見られるようになってきました。背景には相次ぐ値上げの影響があると指摘する声がありますが、果たして同社は成長を継続することができるのでしょうか。

 ユニクロを展開するファーストリテイリングは8月決算の企業です。前期(2014年8月期)の決算は、売上高1兆3830億円、当期利益は793億円と増収減益でした。減益とはいえ、売上高が2割も伸びていましたからまずまずの決算といってよいでしょう。今期に入ってからも、前半は比較的好調で、半期の決算にあたる2015年2月期には、通期(2015年8月期)の売上高見通しを1兆6500億円に上方修正しています。ところが期の後半に入り少し様子が変わってきました。

 6月の既存店売上高は前年同月比マイナス11.7%、7月も同1.5%減となり、前年割れの月が2カ月連続となったのです。8月は少し盛り返し2.5%増となりましたが、以前に比べて勢いがなくなっている印象は否めません。同社では「7月は前半が梅雨の影響で気温が低かったことから夏物全般の販売が苦戦した」と説明しています。しかし、天候不順だけを原因とするのは少々無理があるでしょう。

 もっとも大きいのは値上げと考えられます。同社は昨年、秋冬の新商品について5%ほどの値上げを実施しました。円安や原材料費の高騰が続き、コストの吸収が難しくなったからです。今年に入り、春夏の新商品についても、同様に値上げを実施しています。昨年の秋冬物については、値上げの影響は少なく、同社は業績を維持することができましたが、今年の春夏物については想定通りにいかなかったようです。

 その原因は顧客をとりまく経済環境の変化にあると考えられます。実はユニクロ以外でも、このところ進んだ円安の影響で、値上げに踏み切るメーカーが増えてきました。全体の物価はエネルギー価格の低迷によって横ばいが続いていますが、生活必需品の価格については4月以降上昇傾向が顕著となっています。一方、労働者の実質賃金はマイナスが続いており、家計の購買力は大きく低下しています。家計が財布の紐を締める中での値上げですから、売上げに響いた可能性は高いとみてよいでしょう。

 同社は今年の7月からさらに値上げを行っており、しかも値上げ幅は10%と昨年の水準を大幅に上回ります。円安の進展に加え、週休3日制など労働条件の改善を実施することもあり、コスト負担の増大も影響していると考えられます。10%の値上げということになると、顧客にとってはかなり「高い」という印象になるはずです。もし9月以降も、前年割れの月が出てくるようであれば、同社の価格戦略について抜本的な見直しが必要となるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/13(水) 4:42
THE PAGE