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異論噴出、マイナンバー制度と抱き合わせの軽減税率

2015/9/17(木) 7:00配信

THE PAGE

 消費税率10%への引き上げとセットで導入が検討されている軽減税率の方法をめぐり波紋が広がっています。一旦10%の消費税を徴収してから後日還付するというものなのですが、果たしてこの方法は消費者にとってどれだけメリットがあるのでしょうか。

 財務省が8日に提示した軽減税率制度は、多くの人がイメージするものとはかなり異なった内容でした。欧州などで導入されている軽減税率は、品目によって消費税が全額かかるものとそうでないものに分けられており、軽減税率の対象となっている商品については、清算時、自動的に消費税が減額されます。つまり消費者側の負担はほとんどありません。しかし財務省案では、一旦、10%の消費税を徴収した後、消費者は軽減税率の対象分の消費税を後日還付してもらうという方式になっています。

 しかも、消費税の還付を受けるためには、消費者は買い物をする際にマイナンバーカードを提示し、何を買ったのかカードに記録しなければなりません。いってみれば、税率2%相当を「ポイント還元」してもらうようなものと考えればよいでしょう。

 このやり方に対してはあちこちから異論が出ています。マイナンバーカードにはすべての買い物が記載されてしまうため、プライバシーの観点から一部の人は利用しないのではないかとの指摘があります。また、マイナンバーカードを忘れてしまった場合には、後日、対応してもらうことは難しいでしょう。マイナンバーカードを整備するためには高額のシステム費用がかかり、財政上の負担となることも懸念されているようです。

 かなり評判の悪い制度ですが、財務省側はそれを十分に承知した上で提案したという穿った見方もでています。財務省は財政再建を最優先しており、ホンネでは軽減税率を実施したくないと考えている可能性があります。今回の制度では還元額の上限を4000円にすることが検討されているわけですが、高額所得者にとっては、わずか4000円のためにすべての記録をカードに残すことはあまり合理的とはいえず、多くがこの制度を利用しないかもしれません。また、それほど家計に余裕がない人でも、カードを忘れたり、子供の買い物には親がカードを渡さないといったケースも考えられ、還付の額は思いのほか小さくなる可能性があるわけです。

 つまり、高額所得者からはしっかり税を取り、軽減税率による税収減を最小限にできますから、財務省にとっては好都合ということになります。普及に際してハードルが高いといわれているマイナンバー制度を普及させるきっかけにしたいという意図もあるかもしれません。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/10/18(日) 2:38
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