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新アベノミクス「GDP600兆円」は実現可能か? 生活水準が低下するリスクも

2015/9/28(月) 7:00配信

THE PAGE

 自民党の総裁選において無投票で再選された安倍首相は24日、記者会見に臨み、新しい経済政策を発表するとともに、GDP(国内総生産)600兆円を達成するという目標をブチ上げました。果たしてこれは実現可能なのでしょうか。

名目GDP約600兆円をどう考えるか

 日本の2014年度におけるGDPは約490兆円でした。内閣府では中長期の経済財政に関する推計をおこなっており、アベノミクスが成功した場合には、名目で3%、実質で2%程度の経済成長が実現すると見込んでいます。この場合、2020年度には名目GDPが約600兆円に達すると内閣府では試算しています。安倍氏は「ニッポン一億総活躍プラン」を掲げ、2020年に向けて実現に全力を尽くすと説明していますから、GDP目標の達成時期も2020年度であると考えるのが自然です。

 もしそうであれば、これまで政府が示してきた推計値とほぼ同じですから、600兆円という数字は特に目新しいものではないということになります。強いて言えば、これまで明確にしていなかった数字をはっきり示したという点が特徴ということになるでしょう。

 もっとも、600兆円という数字が目新しいものではないからといって、これが簡単に実現できるのかは別問題です。2020年度に600兆円を実現するには、毎年、名目で3%程度の成長を達成しなければなりません。これは今の経済状況を考えるとかなり難しいというのが現実です。

 安倍政権は発足以後、平均すると1%台後半の名目成長率を達成していますが、この多くは公共事業によって実現したものです。個人消費の拡大も、円安による物価上昇が大きく影響していると考えられますから、成長の原動力は円安と公共事業だったと考えてよいでしょう。

 この2つの効果で1%台後半という結果ですから、従来と同じようなやり方を続けていては、3%台の成長は難しいという解釈になってしまいます。安倍氏は、新しい具体策として、賃金の上昇、人材の外国からの受け入れ、女性活用などを掲げていますが、これは従来の成長戦略でも取り上げられていたものです。今回のプランで目新しいのは、高速鉄道の全国的な建設を打ち出したことでしょう。つまり大規模な公共事業をさらに拡大させ、3%成長を実現するというプランを描いているようです。

国民の実質的な生活水準がさらに低下するリスクも

 従来の成長率にさらに1.5~2%を上乗せするためには、10兆円ほど公共事業を拡大する必要があると考えられます。しかし、政府は2020年までに基礎的財政収支を黒字化するという目標を掲げていますから、財政再建を優先する場合、大規模な公共事業の継続は困難でしょう。

 日銀が追加緩和に踏み切り、経済界に対してこれまで以上に強く賃上げを要請すれば、名目上の消費を押し上げ、3%成長を達成することが可能となるかもしれません。しかし、その場合には円安によって物価上昇が激しくなり、国民の実質的な生活水準がさらに低下するリスクがあります。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/30(土) 3:42
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