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とうとう物価がマイナスに しかし「周りは値上げばかり」のなぜ

2015/9/29(火) 7:00配信

THE PAGE

 このところ物価上昇の鈍化が進んでいましたが、最新の統計では、とうとう物価がマイナスに転じてしまいました。デフレ脱却を経済政策の柱に据えていたアベノミクスは振り出しに戻ってしまった格好です。しかし物価動向をよく観察すると、これまでにない水準で物価が上がっていると解釈することもできます。いったいどういうことなのでしょうか。

 総務省は25日、8月の消費者物価指数を発表しました。代表的な指標である「生鮮食品を除く総合(コア指数)」は前年同月比でマイナス0.1%となり、物価は下落に転じてしまいました。量的緩和策は日銀が市場にマネーを供給しインフレ期待を起こすことで2%の物価上昇を見込む政策です。量的緩和策がスタートした当初は、マイナスだった物価上昇率がプラスに転じ、物価が順調に上昇するように見えました。2014年夏にはコア指数がプラス1.4%に達しましたが、これを境に物価上昇率は低下し始め、今年に入ってからは、物価下落も囁かれるようになってきました。実際、8月に入ってマイナスに転じてしまったわけですが、あくまでこれはコア指数の話です。

 もう一つの物価指標である「食料及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)」は、実はコア指数とは異なる動きを見せています。コア指数がまったく伸びを見せない中、コアコア指数は毎月、上昇傾向を強めており、7月は0.6%プラス、8月は0.8%のプラスとなりました。これはアベノミクスのスタート以後、もっとも高い伸びといってよいでしょう。

 コア指数とコアコア指数の動きが乖離している原因は、エネルギー価格の動向です。コア指数には電気料金やガス料金といったエネルギー価格が含まれています。これらの価格は、原油価格の大幅な下落によってマイナスが続いており、これが物価指数を押し下げる要因となっているわけです。一方、コアコア指数にはエネルギー価格は含まれていませんから、一般的な商品の価格動向がより顕著にあらわれます。

 このところ一気に進んだ円安の影響で、輸入物価が上昇しており、4月以降、値上げに踏み切る事業者が一気に増えました。多くの消費者が最近、値上げが相次いでいることを実感していると思いますが、それはコアコア指数に表れているわけです。

 確かにコア指数はマイナスとなり、量的緩和策は振り出しに戻ったように見えますが、生活実感に近いところでは着実に物価は上がっているとみてよいでしょう。ただ、物価は上がっても企業の生産性は向上しておらず、賃金は物価上昇分ほど上がっていません。懐は寂しくなる一方ですから、多くの人にとって生活は苦しくなったという印象の方が強いかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/11/30(月) 4:39
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