ここから本文です

保守派と衝突、ベイナー下院議長が突如の辞任。米国政界で何が起きている?

2015/9/30(水) 7:00配信

THE PAGE

 米国共和党のベイナー下院議長が、突然辞任を発表したことで、米国の政界が混乱しています。保守派からの反発に耐えきれなくなった形ですが、大統領選挙を控え、共和党内の断絶が予想以上に大きいことが明らかとなりました。米国の政治に何が起こっているのでしょうか。

 ベイナー氏は25日、急きょ記者会見を行い、来月30日に議長を辞任し、下院議員も辞職する意向を表明しました。辞任の表明が突然だったことに加え、議員も辞職するという内容に、米国の政界には驚きが走っています。ベイナー氏が辞任することになった直接のきっかけは、来月からスタートする2016会計年度(2015年10月~2016年9月)の暫定予算をめぐる議会とホワイトハウスの対立です。

 今月末までに暫定予算が決まらなければ、政府機関の一部が閉鎖する可能性がありますが、共和党保守派は、妊娠中絶などに関するサービスを提供している民間非営利団体(NPO)プランド・ペアレントフッドに対する補助金について激しく反発しており、政府機関閉鎖も辞さない構えを見せています。

 一方、共和党の穏健派に属し、党内で意見を取りまとめる立場のベイナー氏は、政府機関を閉鎖に追い込むことについては慎重な構えです。来年には大統領選挙を控えており、共和党の党利党略で行政運営に支障を来しているというイメージが付くことを避けたいというのがその狙いです。

 しかし、オバマ政権との妥協を模索するベイナー氏に対しては、保守派から「弱腰だ」という批判が相次いでおり、辞任を求める動きが高まっていました。結局、ベイナー氏はこうした圧力に抗しきれず、やむなく辞任するに至ったものと考えられます。

 ベイナー氏の後任には、ケビン・マッカーシー院内総務の名前があがっています。マッカーシー氏は、ベイナー氏より保守派に近いといわれており、同氏が議長に就任すれば、共和党における保守派の立場がより鮮明になると予想されています。オバマ政権との対立も激しくなるでしょう。

 ただ、こうした動きが共和党に有利に働くのかは何ともいえません。大統領選挙の共和党候補者指名争いでは、過激な発言を繰り返す保守派のトランプ氏が支持率トップとなっています。しかし実際に選挙となると、こうした過激な候補者は敬遠される可能性があり、かえって民主党に有利に働くリスクもあります。

 ベイナー氏は、オハイオ州選出の下院議員で当選13回の大ベテランです。共和党が下院での多数派となった2010年の中間選挙以後、議長を務めています。敬虔なカトリック教徒として知られ、今月に実現したローマ法王の訪米に尽力しました。法王の議会でのスピーチの際には何度も涙を拭っていましたが、法王の招待がベイナー氏の花道となりました。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2015/12/1(火) 3:37
THE PAGE