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任天堂新社長、元銀行マン君島氏就任のナゼ?

2015/10/1(木) 7:00配信

THE PAGE

 任天堂は、急死した岩田聡前社長の後任として君島達己常務を昇格させました。君島氏は元銀行マンで、任天堂でも管理部門の業務経験が長かった人です。正直なところ、なぜ君島氏がトップなのかという印象を持った関係者は多かったと思われます。任天堂には、事業の立て直しだけでなく様々な課題が山積しています。元銀行マンをトップに据えた理由はこのあたりにあると考えた方がよさそうです。

 任天堂はよく知られているように、創業家出身の山内溥氏が、花札メーカーだった同社を世界的なゲーム機メーカーに育て上げました。山内氏が後継者として抜擢したのが7月に急死した岩田前社長でした。同社は岩田氏の下で成長を続けてきましたが、全世界的にゲーム専用機からスマホへのシフトが進んだことで業績が悪化。2014年3月期の決算は、売上高が当初予想の9200億円から一気に40%減の5700億円まで落ち込み、営業損益は460億円の赤字に転落してしまいます。

 岩田氏は、リストラはしないと明言していましたが、海外を中心にスリム化を進め、2015年3月期の決算は何とか黒字を確保。3月にはソーシャルゲーム大手のDeNAと提携し、スマホ・ゲームの市場に本格的に参入する方針を明らかにしていました。ところが、その矢先に岩田氏が急死してしまったことから、君島氏が急遽、社長として登板することになったわけです。

 君島氏は三和銀行(現・三菱東京UFJ銀行)出身で、いわゆるゲーム業界のプロではありません。任天堂でも長く管理部門の責任者を務めてきました。事業構造の抜本的な改革が迫られる中での社長就任は少し意外な感じもしますが、同社を取り巻く総合的な環境を考えると決して不思議な人事ではありません。

 業績が悪化したとはいえ、任天堂が持つブランド力や技術は世界のゲーム業界にとって非常に魅力的です。山内氏は2013年9月に亡くなっており、1600億円ともいわれた溥氏の株式は遺族4人に相続されています。カリスマ的存在であった大株主がいないという状況に加え、後継者の岩田氏も亡くなったことで、同社は買収のターゲットにされる可能性が高まっています。実際、米国の投資ファンドである、キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメント・カンパニーが同社株をすでに15%保有しています。

 同社には1兆2000億円の自己資本があり、今のところ財務体質は盤石といってよいでしょう。つまり、同社にはしばらく時間的猶予があり、事業構造の立て直しと同時に、株主構成なども含めた総合的な資本政策の立案が求められる状況となっています。一連の体制構築が済むまでは、金融出身の君島氏が手腕を発揮する場面は多そうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/8(月) 4:49
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