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ボーイングが工程の一部を中国に移管 ── 中国と米国企業の蜜月

2015/10/5(月) 7:00配信

THE PAGE

 米航空機製造大手のボーイングは、製造工程の一部を中国に移管することを決定しました。巨大な軍事部門も抱える国策企業の中国シフトは、習近平国家主席の訪米に合わせたものであり、中国と米国企業の蜜月ぶりを象徴しています。

 ボーイング社は23日、ボーイング737型機の最終組み立て行程の一部を中国に移管すると発表しました。これに合わせて中国は合計300機の航空機をボーイングから購入します。これまで同機の組み立ては、すべてワシントン州内にある工場で実施されてきましたが、今後は、機体の塗装、内装の据え付け、飛行試験など、工程の一部が中国の工場に移管されることになります。

 同社は、米国を代表するメーカーで、ボーイング747、ボーイング777といった数々の大型旅客機を製造してきました。また軍事部門の規模も大きく、米国の安全保障にとってなくてはならない存在です。工程の一部とはいえ、一種の国策企業が製造工程を中国にシフトするというのは異例のことですが、背景には、習近平国家主席の訪米があります。

 習氏は22日から2回目となる米国訪問を行っていますが、オバマ大統領との首脳会談に先立ち、西海岸ではマイクロソフトやボーイング、アップルといった主要企業との会談が設定されました。ボーイングの中国シフトは、米国から中国へのプレゼントとして企画されたわけです。このほか、コンピュータ大手のデルやネットワーク機器大手のシスコシステムズなど、米国のIT企業は軒並み中国への投資を加速させている状況です。

 中国は現在、景気失速が著しく、日本企業の一部は中国市場から撤退しています。一方、米国企業は中国景気の失速にタイミングを合わせ、逆に中国進出を強化しているようにも見えます。米国側は中国の経済危機を大きなビジネス・チャンスと捉えているのかもしれません。

 もっとも航空機の業界関係者は今回の措置についてあまり驚いていないようです。近年、製造業の分野はコモディティ化の流れが進んでおり、水平分業を実施するのが当たり前になっています。

 かつてボーイングは、設計から部品の調達、最終組み立てまで、すべてを担当していましたが、現在では、航空機のほとんどの部分について、メガサプライヤーと呼ばれる大手部品メーカーが半完成品の状態まで作り上げてしまいます。完成機メーカーの付加価値は、もはや製品の組み立てには存在していません。

 新興国の経済成長によって、航空機需要は今後、爆発的に伸びると予想されています。製造業は需要地の近くで製造するという「地産地消」が主流ですから、長期的な視点で考えれば、旺盛な航空機需要が続くアジア地域において最終組み立てを実施するという流れは、今後さらに加速することになるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/1/6(水) 4:02
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