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TPP大筋合意、グローバルに見た影響は?

2015/10/8(木) 10:06配信

THE PAGE

 長い交渉の末、ようやくTPP(環太平洋パートナーシップ協定)が大筋合意となりました。国内では農業の問題にばかり焦点があたっていますが、グローバルに見た場合、TPPとはどのような役割を果たすものなのでしょうか。また日本経済にはどのような影響があるのでしょうか。

 TPPは、加盟国において原則として関税を撤廃し、同じルールで貿易を行うための協定です。TPPを初めとするこれらの国際的な貿易協定は、1929年の世界恐慌をきっかけに発達したものですが、背景にあるのは経済学における「比較優位説」です。それぞれの国には得意なことと不得意なことがあり、一国ですべてを賄うのではなく、自国経済の中で相対的に得意なものに特化し、不得意なものは輸入した方が、経済全体の生産力が増加します。つまり各国はグローバルに貿易を行った方が得するという考え方です。

 これはEU(欧州連合)発足後のドイツを見れば分かります。EUは欧州をひとつの国にしようという考え方ですから、貿易協定よりもさらに踏み込んだ概念です。EUが実現して以降、ドイツの工業生産は飛躍的に伸びていますから、得意な領域への特化はメリットをもたらすということになります。

 この理論は、ドイツのように多くの面で絶対優位にある国に限定されるわけではなく、あらゆる面で劣位にある途上国にとっても同じことです。自国内でより得意なもの(比較優位)に特化すれば、最終的な富は増えることになります。

 経済的に考えれば確かにそうなるのですが、現実は簡単ではありません。比較優位であることが分かっていても、仕事を変えたり、輸入に切り替えることはなかなか実行できません。可能な範囲で分業を行うということになりますから、得する国と損する国が出てくるのが現実です。

 一概には言えませんが、大国で、高付加価値産業が多く、その分野に特化できる国は有利になる可能性が高いと考えられます。また、雇用の流動性が高く、柔軟に産業構造を転換できる国も有利に振る舞うことができます。その意味で、米国はTPPの導入で得られるメリットが大きいでしょう。

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最終更新:2015/12/9(水) 4:13
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