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予算縮減の提言もあったノーベル賞「ニュートリノ研究」の投資対効果は?

2015/10/9(金) 7:00配信

THE PAGE

 東京大学宇宙線研究所の梶田隆章所長が、今年のノーベル物理学賞に決まりました。日本は財政状況が厳しくなっており、潤沢に研究資金を配分することが難しくなっています。梶田氏の研究分野は多額の予算が必要なことで知られているのですが、こうした基礎研究に対しては、どの程度、予算を割くべきなのでしょうか。

実験物理学は、研究資金と成果が結びつきやすい

 日本の大学における研究水準はこのところ大幅に低下しているといわれています。1日に英誌が発表した世界大学ランキングでは、東大がギリギリで50位以内に入ったものの、東大以外の旧帝国大学の順位はさんざんなものとなりました。文部科学省はこうした状況に対処するため、スーパーグローバル大学構想を提唱。指定大学に重点的に予算配分することで、研究体制の強化と予算の抑制の両立を目指しています。多額の予算を投じた梶田氏の研究がノーベル賞という成果につながったことは、文部科学省の重点配分構想を後押しするかに見えますが、話はそう単純ではないようです。

 基礎研究の分野については、どのような成果が得られるのかあらかじめ予測することは不可能であり、重点項目を決めて予算配分を行うことは科学的に無意味であるというのが世界的なコンセンサスになっています。ただ、これには例外があり、今回、ノーベル賞を受賞した梶田氏が取り組んでいるような、巨額な予算を必要とする実験物理学の世界は、ある程度までなら成果を予測できるといわれています。

 梶田氏の実績は、スーパーカミオカンデという巨大な研究施設があってはじめて成立するものなのですが、逆にいえば、巨費を投じて施設を建設することができれば、一定の成果が上がることはある程度予測できるわけです。梶田氏の卓越した能力があってはじめて受賞に結びついたことは言うまでもありませんが、一方で、実験物理学が、研究資金と成果が結びつきやすい、数少ない分野であることも事実です。スーパーカミオカンデの建設には100億円以上(事故をきっかけとした修復費用を含めると125億円)の税金が投入されていますが、結果的に2人のノーベル賞受賞者を出したわけですから、投資対効果は高かったと考えてよいでしょう。

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最終更新:2016/1/17(日) 4:14
THE PAGE

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