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他人事じゃない鬼怒川決壊「海抜ゼロメートル」東京・江戸川区の水害対策

2015/10/11(日) 11:00配信

THE PAGE

 関東・東北豪雨から10日で1か月が経ちました。この豪雨では、茨城県常総市の鬼怒川が決壊するなど各地に大きな被害をもたらしました。爪痕は今も残り、今も400人以上が避難生活を送っています。

【写真】関東・東北豪雨1か月 「1000万人都市」東京都の水害対策は?

 今回の水害は東京都にとっても決して他人事ではありません。特に海抜ゼロメートル地帯を抱える江戸川区は、水害は深刻な問題として受け止められています。

荒川と江戸川に囲まれた地域

 東京都江戸川区は区域の7割以上が「海抜ゼロメートル」になっています。また、東京湾に面し、周囲を荒川・江戸川に囲まれているので、水害や洪水による被害とは常に隣り合わせです。江戸川や荒川は、上流に広大な流域を持っているので、水量も莫大になります。そうした地理的条件から、江戸川区は東京都内でも水害対策にもっとも力を入れている自治体と言えます。

「江戸川区の場合、洪水や高潮対策として東京都や国土交通省などとも連携して堤防・防潮堤を建設して、水害対策を強化してきました。しかし、江戸川区がいくら水害対策を講じても、茨城県や埼玉県、千葉県といった江戸川・荒川の上流で豪雨が発生すると、それらが流れ込んできます。そうなると、どんなに万全な水害対策をしていても防げない事態もあり得ます。そうしたことから、江戸川区ではハードインフラの整備と同時に防災訓練を頻繁に実施したり、避難時のシミュレーションを綿密におこなったりといったソフト面での対策を強化しています」(江戸川区役所危機管理室防災危機管理課)

 江戸川区の小中学校の校舎は、浸水深の目安が一目でわかるように色分けされています。また、駅前や庁舎といった公共スペースにも浸水深の色分け表示がされている潮位表示塔が設置されています。浸水深をデジタル化された表示塔で視覚化することで、江戸川区民は日常的に水害を意識できるようになっています。

数字上は避難の全区民を収容可

 さらに、江戸川区には「土のうステーション」が28か所あり、誰でも自由に使えるようになっています。区では、定期的に土のうステーションの使い方や土のうの作り方の講習を実施し、水害への意識を高めているのです。実際に水害が発生した場合に67万人も の区民が避難できる場所はあるのでしょうか。

「江戸川区は3か所の地域防災拠点を整備し、数字上では全区民が収容できることになっています。しかし、区民が均等に地域防災拠点に避難してくれるとは限りませんし、一斉に避難してパニックが起き、かえって被害が拡大してしまうケースもあります。そうした事態を未然に防ぐため、江戸川区は避難状況に合わせて、(1)避難する時間が十分にある、(2)避難する時間がない、(3)浸水が始まっている、の3段階に分けて、それぞれの行動をハザードマップにも示しています」(同)

 (1)の場合、地域防災拠点に避難します。地域防災拠点はスペースも十分にある救援物資も届けやすく、さらに安全な場所へと移動することも容易です。

 (2)の場合は小中学校に避難するように推奨しています。区内の小中学校も当然ながらゼロメートル地帯に立地しているので、校舎によっては2階以上が使える、3階以上が使えるといった具合に異なった対応になります。小中学校は106校が待避施設に指定されています。

 (3)は逃げ遅れた人のための対策です。江戸川区は都営住宅や区営住宅、URなどの高層住宅をはじめショッピングセンターなどの施設と協定を結び、安全を確保しています。

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最終更新:2015/10/11(日) 11:44
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