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産業革新機構のシャープ出資案が浮上 政府系ファンドによる救済は現実的か

2015/10/18(日) 7:00配信

THE PAGE

 経営再建中のシャープを支援するために、政府系ファンドの産業革新機構が直接支援する案が浮上しています。もし実現すれば、とうとう政府がシャープを救済する形となりますが、このスキームにはいろいろと問題があるといわれています。果たして政府によるシャープ救済は必要なのでしょうか。

シャープ赤字転落の影に「ジャパンディスプレイ」の存在

2015年3月期は2200億円の赤字

 シャープが経営危機に陥った直接の原因は主力事業である液晶への過剰投資です。同社は液晶パネルの生産ラインに延べ数兆円ともいわれる資金を投入しましたが、価格下落が急速に進み経営が悪化、巨額赤字を計上するに至りました。当初は、金融機関から支援を受けながら、主力の液晶事業を立て直す予定でしたが、2015年3月期には再び2200億円の赤字を計上してしまいます。

 このままでは同社の存続が危ぶまれる状況となり、鴻海精密工業など外資主導で、主力の液晶事業を分社化するスキームが市場で取り沙汰されるようになりました。産業革新機構による救済案は、こうした状況に対応した措置と思われます。

ジャパンディスプレイとの関係は?

 しかし、産業革新機構による救済はいろいろと面倒な問題を引き起こす可能性があります。もっとも大きいのは、すでに産業革新機構が出資を行っているジャパンディスプレイとの関係でしょう。

 ジャパンディスプレイは、日本の製造業復活を掲げ、政府主導で日立製作所、東芝、ソニーの液晶パネル事業を統合させた、いわゆる日の丸液晶メーカーなのですが、実はシャープにとって最大の競争相手となっています。

 シャープが前期、再び大規模な赤字に転落した最大の理由は、スマホ向け液晶パネルで苦戦したことです。同社は、中国の携帯電話メーカー「シャオミ(小米)」からの大型受注を逃しているのですが、その背後にはジャパンディスプレイの存在があるといわれています。ジャパンディスプレイがシャープとシャオミの受注を奪い合う形となり、シャオミからいいように天秤にかけられてしまったわけです。

大量の失業者を出す方策を主導できるのか?

 液晶パネルは、付加価値の低いコモディティ商品ですから、韓国メーカーや台湾メーカーとの価格勝負になっています。このまま政府がシャープまでも救済してしまうと、再び両社で市場を奪い合う可能性が高くなります。アップルやシャオミといったセットメーカーは、両社を競争させ、さらに安い価格が提示されるよう駆け引きをする可能性が高いでしょう。

 こうした状況を防ぐためには、両社を統合し、大胆なリストラを行うという選択肢が残っていますが、大量の失業者を出す方策を政府系ファンドが主導できるのか何ともいえません。シャープの迷走はしばらく続きそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/2/21(日) 2:39
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