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厚労省マイナンバー汚職で知る、官庁独特の調達制度って?

2015/10/21(水) 7:00配信

THE PAGE

 マイナンバー事業をめぐり、業者から現金100万円を受け取った収賄の罪で厚生労働省の室長補佐が逮捕された事件が話題となっています。逮捕された中安一幸容疑者は、自ら業者に金額を指定して賄賂を要求していたといわれますが、本来、官庁の調達には不正を防止する仕組みが整っているはずです。なぜこのような不正がまかり通ってしまうのでしょうか。

民間とは異なる独特の調達制度

 官庁で発生する汚職事件を理解するためには、民間とは異なる独特の調達制度について知る必要があるでしょう。官庁の物品やサービスの調達には大きく分けて2つのやり方があります。ひとつは「入札」で、もう一つは「随意契約」です。入札は、複数の業者に同時に価格を提示させて安い方を採用するという方法、随意契約は入札を行わず、官庁側が自由に裁量で決定する方法です。このほかいくつかの方法がありますが、原則として官庁の調達は、入札か随意契約のどちらかにすることが法律(および政令)で決められています。

 入札は、仕組みが簡単ですから、多くの調達案件で用いられています。パソコンや机といった形のある製品であれば、入札によって安い方に決めるというのは合理的なやり方ですが、各種サービスを調達する場合には、単純に価格だけで決められないこともあるでしょう。また物品であっても、価格だけではなく総合的な判断が必要なケースも出てきます。こうした場合には、随意契約が用いられることになります。

マイナンバー関連の2案件は「随意契約」

 今回、中安容疑者が逮捕されるきっかけとなったマイナンバー関連の案件は2つあるのですが、どちらも入札ではなく、随意契約となっています(企画競争入札と説明しているメディアもありますが、正式には随意契約です)。単純な製品納入ではなく、発注側と密なやり取りが必要となる調達だったことから、企画書を事業者に提出させ、その中から優秀なものを選ぶという「企画コンペ」方式が採用されました。

 中安容疑者は、特定の業者に有利になるよう、恣意的に仕様書を作っていたと思われます。随意契約における不正のほとんどが仕様書の恣意的な作成によって行われていますから、今回の手口は典型的なものと考えてよいでしょう。また一般競争入札で不正が行われる場合には、担当者が予定価格を事前に事業者に漏らすというパターンがほとんどです。

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最終更新:2016/2/22(月) 3:21
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