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準決敗退も南ア善戦の裏に日本戦の教訓

2015/10/25(日) 10:08配信

THE PAGE

 ラグビーワールドカップのイングランド大会は、準決勝に突入した。10月25日、トゥイッケナムスタジアム。前回王者のニュージーランド代表と対峙したのは、南アフリカ代表だった。予選プールBの初戦では日本代表を前に沈黙したが、この日は持ち味を活かした。最後は18―20で泣いたものの、前半終了時点では12-7とリードしていた。ちなみに過去4年の両軍の対戦成績は、ニュージーランド代表の6勝1敗だった。

 9月19日、ブライトンコミュニティースタジアム。過去優勝2回の南アフリカ代表が、屈辱を味わった。エディー・ジョーンズヘッドコーチ率いるジャパンに、大会24年ぶりの勝利を献上したのだ。小兵の鋭いタックルを前に、落球と反則を重ねた。「国民に謝罪したい」とハイネケ・メイヤーヘッドコーチはうなだれた。

 もっとも南アフリカ代表は、この日を境に変わった。実は大会前からアルゼンチン代表に初黒星を喫するなどチーム作りに難航していたが、まさかの黒星を良薬としたのだ。

 大会途中から主将となったスクラムハーフのフーリー・デュプレアは準決勝後、悔しさをにじませながらこう語っていた。

「私たちがここ(準決勝)にいられる一因は、日本代表戦。あの後に、誰もが立ち上がった」

 スタンドオフのハンドレ・ポラードも「初戦は残念だったが、スタッフも含めて(原点に)立ち返った」と続け、メイヤーヘッドコーチはこうも語っていた。

「南アフリカにいる国民にも感謝したい。日本代表戦の後から受けているサポート(声援)は信じられないほど素晴らしい。目に涙をためることもあった」

 残りの予選プールからこの日に至るまで、精神面の変化が現象にも現れていた。ラインアウトから組み込むモールは、強靭さが増した。まとまって前に出る際の脚の動きにも、統一感がにじんだ。

 何より、ジャパンを相手にやや半身でコンタクトしていたボール保持者が、果敢に正面衝突するようになった。開き直ったようだった。

17日のトゥイッケナム。ウェールズ代表に23―19で粘り勝ちした準々決勝では、フランカーのスカルク・バーガーが直線の走りを繰り返した。結局、マン・オブ・ザ・マッチに輝いた。
 メンバーも固定された。フィジカル勝負とセットプレーを長所に勝ち進むべく、指揮官は「プレッシャーを受けてもパフォーマンスができる選手を」との視点で人員を整理していた。
 デュプレアとポラードの司令塔コンビが、前方の空いたエリアへ精度の高いキックを放つ。敵陣に侵入し、密集で相手の反則を誘えばモールやペナルティーゴールで着実にスコアした。

 守りでも激しかった。フランカーのフランソワ・ローは密集戦に身体を当て、球に手をかけた。

 日本代表のジョーンズヘッドコーチは、「南アフリカ代表は攻撃より守備、相手を痛めつけるのが好き」。2007年のフランス大会優勝時にチームアドバイザーを務めた経験から、こんな特徴を見出している。大会中盤以降の南アフリカ代表は、その普遍的なよさを取り戻していたのだ。

 強みの激しさを見直す。デュプレアとポラードがその強みを活かす。その流れは準決勝でも続いた。

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最終更新:2016/1/26(火) 3:41
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